第18話

 エステで借金を背負った私は地元に帰った。

 アルバイトで小さな会社に少し行って、友人に誘われて行政書士の資格を取るために土日のみ学校に通った。

 そうしながら農協の契約社員になった。

 私は新卒の時の就活のノリそのままで受けて、自分の優秀さを売り込み過ぎたのかもしれない。

 私は生意気だと言うことでお局様みたいな人に虐められた。

 そして、父親が母親に暴力を振るうところを見てしまう。その時すでに両親は家庭内別居をしていた。私は、やめてととめた。それでなんとか収まると思っていた。今までもそれでうまく行ってきたのだ。何もなかったようにまた日常は始まると思っていたのだ。


 その日、母親は家を出ていった。

 医師に見てもらい、暴力の証拠を残し、離婚への手続きを始めた。


 私は、どうすることも出来ず自分の事に精一杯で、時々大学の頃の友達の家に泊めてもらったりして話を聞いてもらったりした。

 友達は父親が完全に悪い、母親のところに行くべきだと言った。私は戻すことはできないのかと悩んだ。


 父親や祖母からは、お前は何もしてくれないと言われた。子はかすがいと言うじゃないか、お前が言えば向こうは元に戻ってくれると言った。


 私は、今度こそ無理だと精神科に行った。

 話を一方的にしてきたら、担当医が代わっていた。私は拒否されたような気がしてそれきり行かなかった。後日、職場で健康保険証の履歴から私が精神科に行ったことが総務からお局様にバレてお前は私の悪口を言いに行ったのかと責められた。


 余計に話せる相手も居なくなっていく。友達だってウンザリしていく。

 できるだけ会いたい人には会い、仲良くなれる人を広げていこうとした。でも話せる人を見つけるのは難しかった。

 相談できる人がたまたま彼女と別れたばっかりでその人にのめり込んでいった。


 なんでその人になら話せると思ったのか今思えば不思議だ。ただ向こうも親とうまく行ってなかったり、あまり話すことを否定しなかったから言えたのかもしれない。

 結局うまくはいかなかった。

 距離もあったし、私は自分のことを受け入れてくれる人が欲しかったけど彼は肉体関係を持てる相手を欲しがっていたようだった。知らない内に向こうに彼女ができていてウヤムヤにされた。


 そうして父親の家でなにもないフリをしながら暮らしていたが結局、私は父親にキレて家を出た。両親の離婚も成立し、母と妹とアパートに住んだ。

 母親に絶対結婚相手を父親に紹介して向こうから金を取れと私と妹にいった。

 盆と正月くらい父の方に帰っていたが、嫌嫌行く自分の気持ちにだんだん気づいたし、甥姪も分別のつく年になったし今は帰っていない。

 兄嫁にはそれを責められたが、後にできた友達には最初から帰る必要なんてないと言ってもらえた。

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