第16話

 大学のサークルで私は怒ってばかりいた。

 どうしてどうして、競技を頑張ろうと皆で盛り上げてくれない、他大学と交流してくれない。

 私はこんなに色んなことがしたいのに、ずっとまわりが悪いと思ってた。先輩たちが他の大学の人と仲良くするのを邪魔してると思ってた。


 ふっと他大学の男の子にモーションをかけた。

 でもその大会がまとまらなくて周りに迷惑をかけたのではないかと思ってその気持ちをなかったコトにした。


 私はすごく悪いことをしたかな?

 そんなの気にしなくていいよ!上の先輩だって好きな人ができて仲良くなるために練習会して呼んでとかしてた。よくあることだよって一つ上の先輩に言われた。

 でも、しばらくしてまたその男の子に近づいて、その子にはもうその時彼女がいて、隠してたらしい。それを公にすることで余計に迷惑かけて、私はずっと罪悪感を負った。

 人に迷惑をかけては駄目だ。同じサークル内で付き合ってる子に対しても公私混同してとか揉めたときに連帯責任的に怒ったり、見下した目を向けていた。恋くらいでかき回しちゃだめだと思っていた。


 その、やってはいけないことをやってしまった自分を責める気持がグサグサ突き刺さってきた。

 向こうの彼女も…私を笑っている。悪い子じゃないの、こんなことがなければ仲良くなれた相手なのに。


 自分はそれまで理性的な人間だと思っていた。

 自分は上手くやれている。本当の自分はちゃんとした人間なんだ。今まで会ってきた人みたいに弱い人を責めたりしない。

 でも、実際自分が受け入れられる世界では横暴な側の人間になってた。

 全然違ってた。私はクズだ…


 それから、自分は社会人になってから、謙虚で当たり障りのない人間を演じるように努めた。

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