第15話

 私は誰かを愛したい。

 あの向こうに戻りたい。そういう自分になるまでは戻れないと思ってた。

 嫌だった。

 自分に自身がないのは自分のせいだと思ってきた。でも私のことを攻めてくる人間がいつもいて、今もこちらを舐めてきて無理を押し付ける人がいたからだと気がついた。それを押し退ければいい。

 着たい服を着たい。

 行きたいところに行きたい。

 会いたい人に会いたい。

 それを許されたい。


 許されたいというのはずっと私の中にある感情だった。それを外に求めていた。

 けれど、他人は許してなんかくれない。

 許しを求めても、向こうが許されていないものを更に押し付けてくる。私はそんなものが来ると思わなかったので余計にパニックになる。


 着物着てみたいと考えてたら、それを言わなくても職場の親ほどの年齢の人に「着物のおはしょりがちゃんとできてない子が居る。ウエストで帯を結んでるのを見る」と愚痴を言う。着てみたいことを言い出せなくなる。


 先回りして禁止されているようだ。

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