第14話
物心つく初めてできた友達は、孤独な子だった。
後で聞くと、母子家庭で母が家にいなかったり、恋人を連れこんで彼女を追い出すからそこらをフラフラしていたんだそうだ。
私は彼女に連れられて辺りをよく歩いた。
ある日良いところを教えてあげると、大きな建物に入って窓口のお姉さんからお菓子をもらった。
それはパチンコ屋の景品交換所だった。
その日私は祖父にひどく怒られた。母も責められていた。あんな子はろくでもないと言った。
それからが曖昧だけどしばらくは彼女と遊んだと思う。
けれど県営住宅の下の階に住んでた子を紹介されてから、私はその子と遊ぶようになり、それからの彼女との記憶がほとんどない。
知的障害を持った女性がいつも自転車で私の家の周辺を走っていた。傍らに女の子がいていつも自転車で従っていた。娘だという。
彼女を見ると周りの男の子が馬鹿と言い、向こうも悪態をついた。
しばらくすると、いつも一緒にいた娘は居なくなっていた。
友達は、殺されたのよと言った。
彼女は太っていて、娘は痩せていたから。母親の方ばかり食べてご飯をあげなかったらしいと言っていた。
今冷静に考えれば、他の親族に引き取られるとかなんかだったんだろうと思うし、あれは明らかなデマだと分かる。
でも、そんな嘘を友達に吹き込んだのは誰だろう?
困窮している人を切り捨てて行けというのか。
皆それぞれが辛いのに、救われもせずに足を引っ張る人ばかりで嫌になる。
なんで私は助けられないのに、あんなものを見せられたんだろう。
もしかしたら、そのことに罪悪感を持つのも誰かに植え付けられた思い込みかもしれない。他の人もこういう考え方に囚われたりするのか?そこに行かないために貶めて切り捨てるのか?
残酷な人になることが大人になることなんだろうか。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます