第12話
私は20歳の頃、すごく好きな人に出会った。
その人に認められるのが嬉しかった。頭を撫でてもらえるのが嬉しかった。
だから、大会で上位に入りたかった。
色んな所に行きたがった。
でもその人は私から大事な先輩を奪った。
私を馬鹿だといった。
人の前で私を馬鹿にした。からかった。
悩みを聞いてくれたりしながら、私を操ろうとした。
ある日突然、その人が好きで無くなる…そんな気持が自分に来た瞬間があった。
でも、私は私からこの気持ちを取らないで、って蓋をした。それがなくなったら私は私でなくなってしまう。彼のために努力した自分を自分に否定されるのが怖かった。
なんで自分のことしか考えてないんだろ。それが嫌で彼に会いたくなくて、周りを切った。
明らかに迷惑だ。
もう今はこれっぽっちも彼に気持ちなんて無い。ただ会うのは嫌だという感情だけ残った。
もう会う繋がりさえ無いのだから恐れることはないけど、切ってしまった周りの人たちが懐かしくて仕方ない時がある。
もしかしたらその人たちも今はバラバラになってしまったのかもしれない。あの時拒絶した私を恨んでるかもしれない。昔を思い出して、私の悪口を言うかもしれない。他に家族や友人関係もできて、今更昔のことに囚われている自分を笑うかもしれない。
だから会うというわけにいかない。
たまに学生時代いた街に観光に行けば、ひょっとして会うんじゃないか?
そう思ってグルグルすることはあるけど、会えた試しがない。
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