第9話

なんで死ぬのに生きるの?

私は子供の頃から不思議だった。

保育所に入る頃から祖父母や大叔父と暮らしたことで、私は年を取ることに良いイメージを抱けなかった。


保育所の園長先生は怖い人だった。

私はいつも彼女に責められていた。

向こうにとっても、暗いし、文句は言うし、寝付きも寝起きも悪く昼寝の時間をちゃんとこなせない子は扱いづらかったのだろう。

私は眠るのが怖かった。意識がどこかに連れて行かれるのが嫌な気持ちだった。

夢の中で手足はぶくぶくと膨れ上がり、口の中は粘土の味がした。

あれはなんらかのストレスが原因だったのかもしれない。


園長先生が夜空のお星様になった(亡くなった)と聞いたときは喜んだ。

ああ、もうあの嫌な人と会うことはないんだ…


大人になるのは辛いこと、どこへ行っても良くはならないと考えていた。

常に家ではテレビがついていて、流しながら、やり過ごすことを人生としていた。


死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい。


反対に死ぬことへの恐怖もあった。

死ぬときに私はまた意識を失う感覚の中に入っていかなくてはいけないのだろうか。


199歳まで生きられますようにと星に願ったことがある。199までしか数えられなかったからだ。


私は死にたいのか死にたくないのかどっちなんだろう。

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