第4話
「どこの馬の骨か分からない人と結婚するより、親戚同士で結婚するほうが安心よね」
母はことあるごとにそう言っていた。
曽祖母は北海道へ開拓に行った分家からうちの本家へ嫁に来た。
私は写真だけでしか観たことがない。
でも祖父を見ると、その母も性格が激しかったのだろう。
祖母は、料理が苦手だった。
働き者ではあったので、農家の嫁としてはそれでもいいのだが。
曽祖母が生きていた頃は年末には実家から新巻鮭が送られていたようで、それを使って様々な料理をしなくてはいけないことを負担に思っていた。
だからそれをやらなくていい年はとても喜んでいたという。
逆に母などは可愛がられていたようで、食べることは大事、と言い聞かせられたことをよく覚えている。
そこまで母も料理が得意ではないが、料理教室に通ってから嫁に行く時代の人だったので、祖母と比べたらマシだった。
向田邦子に大根の月という小説があったが、その嫁姑と似たところがあったのかもしれない。
結婚は誰とするものなのか分からない。
母は兄嫁に兄を呼び捨てにすることを怒っていたが、そんなことも許されないほど嫁は婚家に管理されていたのかと思うとゾッとする。
結婚しても夫婦は他人なのか…他人には間違いないけれど味方ではないのか…と思った。
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