第4話
この日、家ではとても気まずかった。
あんなことがあったのに、普通でいられるはずがない。
妹はいつもどおりだが、どこか話しかけづらかった。
そして、そのまま夜を迎えた。
「胡桃」「お兄ちゃん」
「「あっ」」
被ってしまった。
「えっと、お兄ちゃんから…」
「分かった、えっと、昨日のことなんだけど……」
「っ!!」
?
妹はビクッ、とし、こちらから目をそらす。
「えーっと、昨日の……」
「それについてはもう話さないでぇぇぇ」
いつも強気な妹がこんなにも弱気なのは初めてだ。
「分かった、胡桃は?」
「私?あぁ、そうだ。明日、お休みでしょ?どこか行きたいなぁーって」
「…そういうことか。いいぞ、どこ行きたいんだ?」
「えっとね…」
一気に気まずかった雰囲気は消し去り、明日のお出かけの話が続いた。
「じゃあ、明日は駅前のパンケーキを食べに行って、ショッピングモールに行って、服を買って、靴を買って、スーパーに行って食材を買って…って、多いな……」
「久しぶりなんだからいいでしょー!じゃ、おやすみ~」
「おやすみ」
さてと、明日は早いし、早く寝よう。
俺は自分の部屋のベットに飛びついた。
数分もしないうちに、俺は深い眠りについた。
朝。
カーテンから差し込む光で目が覚めた。
目を開けて、時計を見る。
時刻は6時38分。
そして、俺は目の前にある「文字」に気づく。
何か、書かれているように見える。
寝ぼけているのかと思ったが、どうやら、本当らしい。
目を擦って見てみると、
夢の異世界
・セーブ ・ロード
と文字が浮かんでいた。
セーブ?ロード?ゲームの事か?
俺は試しにロードを押した。
すると、信じられないことが起きた。
あの夢の世界にいたのだ。
それじゃあ、今寝ているのか?
俺はセーブをして、ゲームを終了しようとした。
すると、色々変わっていた。
まず、アイテムが全部ロストしていた。
レベルも1。
ステータスも激弱。
そして、ゲームを終了、という文字が、
現実に戻る
になっていた。
そこで俺は、妹との約束を思い出す。
急いで、「現実に戻る」を押し、現実に戻った。
少しすると、現実に戻ってきていた。
俺は時計を見てみた。
6時38分。
起きた時と同じ時間。
……もしかして、「夢の異世界」での時間の流れと「現実」の時間の流れはリンクしていないのか?
俺は試しにもう一度、「夢の異世界」へと行こうとしてみた。
何故か、不思議と、行き方は分かった。
さっきと同じ通り、「夢の異世界」に到着し、5分ほど待ってみた。
「そろそろか?」
俺は、「現実に戻る」を押して現実に戻った。
時計を見るとやはり6時38分。
俺の考えは合っていたようだ。
「おっと」
妹との約束をまたしても思い出し、俺はタンスから洋服を出して着替えることにした。
出掛けるので、少しはマシな格好にした。
着替えが終わり、リビングに行くと、妹はまだ起きていないようだった。
俺はソファに腰掛け、妹を待つことにしたのだった。
魔法が使えるのは異世界だけですか!?〜夢に入って異世界生活〜 【Rye】らい @Raito1211
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。魔法が使えるのは異世界だけですか!?〜夢に入って異世界生活〜の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます