第2話

俺はベットでほぼ寝かけていた。

あの後、妹に殺され(物理的に)、その場に倒れた。

ベットにいるのは、恐らく妹が運んだのだろう。

このまま寝てはいかん!

と思い、俺は体を起こす。

見渡すと机の上に置き手紙があった。

えっと、なになに?


「気絶しちゃったから、起こすためにキスしたけど、起きなかったからベットに運んどいたよ」


ブブッ!


水がないのに吹き出してしまった。

ん?なんだ?続きがある……


「勿論、マウストゥマウスで。by胡桃」


………。

俺はベットから離れ、手紙を破り、ゴミ箱へ捨てる。

そして、部屋のドアの裏に隠れている人物に手を伸ばす。


「胡桃ィィィィィ!!!」

「うわあぁぁぁ!!!」


どすん、と可愛い音を立てて胡桃は尻もちをつく。


「もう!何なの!?」

「いや、何なの!?じゃないよ!何だよアレ!?」

「………」


黙るな黙るな。

……おい、嘘だろ?

まさか……!

しかし、胡桃は笑っていた。

そして、とうとう声に出して笑い始めた。


「あれ?お兄ちゃん、信じちゃった?」

「……は?」

「嘘に決まってんじゃん」

「はぁぁぁ!?」


少し期待した自分が馬鹿らしい。

そう思っていると、刹那、頬に柔らかい感触。


「でも、これぐらいならしてあげれるよ?」


胡桃は照れながらもそう言い残し、リビングへと去っていった。

俺は部屋へと戻り、ベットに突っ伏した。


可愛いっ!クソっ!


あんなことされたのに憎めない、むしろ可愛いからムカつくぅ……!


そして同じ頃、胡桃はというと……


同じようにソファに突っ伏していた。


「やっちゃった!もうぅ、お兄ちゃんのバカぁ」


「ブラコンなのバレたら、生きていけない……」


この会話を、雷斗が聞くことは無かった。

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