魔法が使えるのは異世界だけですか!?〜夢に入って異世界生活〜

【Rye】らい

第1話

住宅街に立ちそびれる普通の一軒家。

深夜帯、その家からは叫び声が聞こえるという。


あ、それ俺です。


その噂を聞いて始めに出たのがこの言葉だった。

途端、噂していたご近所さんは顔を真っ赤にして俺に怒鳴った。


説教は長く、軽く3時間は怒鳴られていた。

最後の言葉…

とりあえず叫ぶな、ってよ。

最初からそう言えばいいのに、なんで3時間の過程を使ってまで説教するかなぁ?

俺は不満を積もらせながらも、住宅街のうちの一軒、自分の家の中に入る。


「ただいま~、って、誰も居ないか」


ハハハ、と1人で笑いながら靴を脱いでいると、突如足音と聞き慣れた声。


「おかえり、お兄ちゃん」

「どえぇぇぇえっ!」

「……何叫んでるの?」

「おばけっ、おばけっ……って、胡桃じゃないか」


変な声で叫んでしまった。

その声の主は胡桃。

俺の自慢の妹だ。

……直接言うとキモがられるから言わないが。


「まったく…怖がらさせないでくれよ…」

「怖がらせたつもりはないんだけど?」

「……すまん」


よく考えれば自分が勝手に驚いていただけだ。

しかし、何故かどこからか殺意を感じる。

感じる方向は……正面。

つまり胡桃だ。


「ところで、おばけ、ってどういうこと?」

「…あっ」


終わった。

なぜこんなにも怒っているかというと、胡桃が嫌う言葉ランキング、1位が、

「おばけ」

だからだ。

勿論、妹はおばけのような見た目をしているわけではない。

実際、言ってしまえば、


超絶美少女だ。


スタイル抜群、運動も勉強もできて、女子力も高い。

パーフェクト女子なのである。


「おばけ、ってさっき言ったよね?」

「……言いました」


「なんで?」


非常に圧が強いです妹様。

何も言っても殺される(物理的に)と確信した俺は被害を最小限にするべく、

正確な選択肢を取った。


「すいませんでしたぁぁぁぁぁ!!!!」


全力で謝る、そして土下座。

あら、何この見にくい生物。

これが人間だっていうの?

肝心の妹はというと……


「許さん」


殺意に満ち溢れていました。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る