第19話
「お前ら!さっさと席を作れ!」
「「「はい!」」」
席に座っていた女の子たちが立ち上がり、席を動かしていき、その後に隣の無人の教室から席を運んできてくれる。
「よし!……席が出来たよ。座って」
「……完璧な統率力ね。お姉さんびっくりしちゃう!」
確定オカマさんはそう話し、席へとゆっくりと腰を下ろす。
「ははは。別にこんなところで統率力を発揮したくなかった」
僕としては普通の関係を作りたい。対等な友達として。そして、ゆくゆくは彼女として。僕はご主人さまになって、この世界の女の子を全員雌奴隷にすることが目的じゃないんだよ?
対等な友達プリーズ。
まぁそんなん無理だろうけど。
「注文は何に致しますか?ご主人様🎶」
僕は気持ちを切り替え、自分の職務を果たすために笑顔を浮かべて告げる。
「あら可愛い。大変ねぇ。あなたも」
確定オカマさんから憐れむような視線を向けられる。
「まぁそんなのいつものことだからね。もう慣れちゃったよ」
「……悲しい慣れねぇ。私にもたくさんそういうあるけど」
「「はぁー」」
僕と確定オカマさんが二人してため息を吐く。僕らの心は繋がっていた。
男が社会に出てくることの大変さ。
「いるかしら?」
「……」
「おぉ!和葉と天音さん!」
次にやってきたのは和葉と天音さんだった。
「待ってたよ。ささ。ここに座って」
僕はすでに確定オカマさんが座っている席へと案内する。
「……あれが……」
「神の……」
和葉と天音さんを見て周りの人たちがざわめき出す。
和葉は僕の彼女で、天音さんは僕の護衛。二人の注目度も飛躍的に上がっているのだ。
「……可愛いわね」
「ふふふ。そう?ありがと」
僕は和葉の言葉にお礼を告げる。
「じゃあ今日はコスプレHでもする?」
和葉の耳元に顔を近づけ、小さな声で囁く。
「ふぇ!?」
和葉の顔が一気に真っ赤に染る。
そして、こくこくと和葉は首を縦に振った。
「……あなたたち」
声が聞こえてしまっていたのか確定オカマさんが僕に向かってジト目を向けてくる。
「ちゃっかり楽しんでいるのね」
「そりゃ新婚ですから。……毎日死にかけていますよ」
「……あ、そうね」
僕の見せた死んだ魚のような瞳に確定オカマさんが憐れむような視線を再度向けてくる。……悲しいね。
「賢人ちゃん!ママも来たわよ!」
「は!?お母さん!?」
当然お母さんが来訪してきて驚く。
「とりあえずこっちに」
いきなり来たお母さんを席まで案内する。
まさか海外に出張中のお母さんまで来るとは。
……ちょっと待て。仕事はどうした?
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