第10話
神無月、鈴鹿。ド変態委員長、霧音。侍ちゃん、愛梨。
三人の自己紹介が終わる。
じゃあ最後の自己紹介は水面だ。
僕は僕の前で横たわる水面へと視線を向ける。
「じゃあ最後はあなたよ!」
「はい」
水面は手を上げ、後ろ足で立っている、まるで犬のようなポーズをとってから話し始める。
「私の名前は雨宮理沙と言います。もうわかっているとは思いますが、【エスプリ】では水面と名乗らせてもらっています。どうかよろしくお願いいたします」
水面、理沙は今までで一番丁寧な自己紹介を話す。
「賢人様はお忙しいでしょうから、私なんかの名前を覚えていることはないでしょう」
……ん?
「ですので、私なんかの名前を覚えている必要なんてありません。どうか、お気軽に奴隷、犬っころ、畜生と呼んでください」
訂正。
今まで一番汚ねぇゴミのような挨拶だ。
「うっさい!」
僕は理沙のお腹に容赦なくかかと落としを入れる。
「ウッホぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉおおおオオオオオオオオオオオオオオおお!!!」
理沙から湧き上がる喜びの絶叫。
「ご褒美にございますぅぅぅぅぅぅぅううううううううううううううううう!!!」
「うるせぇ」
正座を崩し、僕の足を自由に動かせるようにしてやる。
そして、僕は理沙の口に靴を突っ込んで喋れないようにしてあげる。きっと喜んでくれるだろう。
「これで全員分の自己紹介は終わりね」
「そうだね。正確には僕はまだだけど、まぁ僕の自己紹介は要らないよね?今この世界に僕の名前を知らない人なんていなさそうだし」
「えぇ。間違いないわね。発展途上国の人でさえ知っているでしょうね」
「うん」
……改めて考えると僕の影響力もとんでもないことになったものだ。
自分で自分が恐ろしい。
「……え?理沙についてはノータッチなのか?」
「ん?」
僕は愛梨のその言葉に首を傾げる。
鈴鹿も同様だ。
「あぁ。これのことかしら?別にいいんじゃないの?これで」
「多分この人も喜んでいるでしょ。僕は彼女を喜ばして上げているんだよ。やかましい奴隷なんて嫌でしょう?」
「……なるほど。賢人くんもそっち側の人間か」
……まぁ、僕は確かにS寄りの人間ではあるが、人の血を見て『いいわぁ』なんて恍惚な声を出さない。この人とは一緒にしないでほしい。
「それで?この後何するのかしら?普通にいつもの活動と同じくゲームするかしら?」
「うん。そうしよ。ゲームしよゲーム。ここには一体どんなゲームがあるの?」
僕は好奇心満々で鈴鹿に尋ねた。
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