第8話
「ふぅー。ようやくみんな落ち着いたかしら?」
僕たちは神無月のその言葉に頷く。
正座している僕たちの前に立つ僕たちの前に立っている神無月の手には痛そうな鞭が握られている。あれで叩かれた出血は免れないだろう。
二人。あの二人が部室に入ってくるとともに部室は混沌を極めた。
僕は恐怖に震え、入ってきた二人は混乱とともに慌て、叫び声を上げる。
混沌が出来上がった。
そんな混沌を打ち壊したのは神無月。
どこからか取り出した鞭を一振り。僕に向かって振られる鞭。
僕をかばうように立ちふさがる水面を襲う鞭。
いきなり鞭を振るという奇行に及んだ神無月を前にみんなが黙った。
『そこに正座しろ』
有無を言わせぬ神無月の言葉に皆が従った。
ちなみに鞭を喰らった水面は僕の前に倒れている。血を流しながら。
「はぁはぁ。私が、賢人くんの身代わりに……はぁはぁ」
なんか気持ち悪く息を荒らげていた。
僕は触れないぞ!
「じゃあとりあえずは自己紹介からね。賢人は私たちのことを知らないでしょう?」
「え、あ、うん」
僕は神無月の言葉に頷く。
「まずは私からさせてもらうわね。私の名前は鈴鹿。神崎鈴鹿よ。よろしくね?」
神無月改め鈴鹿さんは鞭を振り回しながら妖艶な笑みを浮かべて、自分の名前を告げる。
「あなたの自己紹介は私がさせてもらうわよ」
「え?あ、うん。どうぞ」
「この子は賢人。間宮賢人よ。わかりやすく一言で言うと彼がマーリンよ。それだけですべてわかるでしょう?」
「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇえええええええええええええええええええええ!!!」
あっさりと告げた鈴鹿さんの言葉に部室に入ってくるなり僕を見て隣の少女とは比べ物にならないとんでもない大きな声を出して驚いた少女が再び大きな声を上げる。
「うるさいわよ」
鈴鹿の一言。
ペシンッ
その一言とともに振り落とされた鞭が床を叩き、気持ちの良い音をたてる。
「むぐっ」
叫んだ少女は慌てて口をぬぐんだ。
その少女はちらりと視線を落とす。
背中から血を流し、倒れている水面を。
「次はあなたよ。さっさと済ませなさい」
叫んだ少女を指差し、鈴鹿さんが告げた。
……なんというか……女王様?
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