第3話
「えっ……あ……その。はっはっはっはっは」
狼狽に狼狽を重ねている目の前の人たちを前に呑気にお茶をすする。
僕前に狼狽する人など数しれず。もはや手慣れたものよ。これくらいじゃあ僕はうろたえることはない。平然としたものよ。
「うーん。美味しい」
そして、目の前に出されている和菓子もいただく。
和菓子はあまり食べないのだけど、美味しいものだね。今度自分で買ってみよ。どんなお店があるか見てみようかな。
「おうおうおうおうおう」
……オッドセイかな?
オッドセイの鳴き真似をし始めた目の前の女性を見て僕は驚く。
目の前にいる女性が二人。
僕が通っている高校の校長先生と担任の先生だ。僕が学校に通いたいと電話で連絡し、その後すぐに面談することになったのだ。
ふたりとも当然女性であり、未婚者。男性への耐性はゼロに近い。というかゼロだろう。
生の僕を見て早一時間くらいテンパっている。
まぁ一時間くらいよゆーで待てるけどね。
最高で8時間くらい待っていたこともあるし。
「ふぅー」
僕は気長に待つことが出来る人間なのだよ。
■■■■■
それから7時間強。もうすぐで新記録更新!といったところでようやく目の前の二人は会話できるくらいにまで落ち着いてくれた。
いやぁーありがたい。
「す、すみません。少しテンパってしまって」
「いえいえ、大丈夫ですよ。もう慣れていますから」
「な、慣れている……」
僕が笑いながら告げた言葉に驚きの表情を見せてくる。
まぁ7時間も待つことを慣れているの一言で済ませるのは僕くらいだろう。しかし、これくらいしないと男性である僕が人前に出るなんて出来ないのだよ。
基本的に5時間以上は待つことになるからね。アクセサリーショップとかはすごかったな。待ち時間なかったし。あそこが一番良かった。次にホロさんじだな。
「そ、それで、ですね。電話で言っていたことは……」
「えぇ。本当ですよ。ぜひ高校に通いたくてですね」
「うぉしゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
凄まじい気迫でガッツポーズする担任の先生。まだ年若い。全然行ける。
「僕はこの学校の生徒なので通うことに文句を言われる筋合いはないのですが、一応報告がいるだろうと思いましてね」
「え?え?」
突然のガッツポースに何の反応も示さなかった僕に、校長先生は驚きの表情を見せ、そしていきなりガッツポーズをした担任の先生にも驚きの表情を見せる。
よく驚く人だ。
「僕が電話で言った通り明日からこの学校に通っても問題ありませんよね?」
「えぇ。はい。大丈夫、です」
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