第21話

「それで?今日はどんな企画をやるの?」


「あぁ、企画ね。リスナーのみんななんかほっぽりだして、欲望に走りたいところなんだけど、流石にそれをしたら怒られそうだから、ちゃんとリスナーにも需要がある企画を用意してきたわ」


「うん。それなら良かった。暴走しなくて。切実に」

 

 僕は安堵する。心の底から。この世界の人間ならば自分のためにどんなことでもしそうだから……。


「それで?何をやるの?」


「はい!今日!私たちがやる企画は、男性であるマーリンくんQ&Aです!」


「……あぁ。僕が質問に答えればいいのね?雑談配信だと思って良いんだよね?」


「はい!」


「おけ。じゃあやろうか」


「……え?」

 

 僕の一言にキララさんは疑問の声を上げる。


「……ん?どうした?」


「いや。こんなに簡単に了承されるとは思わなくて……私、結構エグい下ネタの質問もするのだけど?」


「別に構わないけど?」


「じゃ、じゃあ……好きな女の子の属性、とか?」


 キララさんがおずおずとためらいがちに聞いてくる。


「うーん。かなり難しいことを聞くね」


「え!?答えてくれるの!?」


「うん。当たり前だよ。まず、人間であることが条件かな」


「え?に、人間であること?」


「そう。あのさ。さっき僕が言った言葉。『燃えながら走ってくるような怪物』って覚えている?」


「え、あ、うん」


「あれ。実話ね。実際に婚活パーティーのときにあったことだよ」


「うっそぉ!?」

 

 僕の言葉にキララさんは驚きの声を上げる。


「ねぇねぇ。例年だと婚活パーティーは30分程度で終わってるでしょう?けれど、今年は違ったんだよ。僕が演説したとき、婚活パーティーが始まってからどれくらいの時間が経っていた?」


「……あ」


「あ、わかってくれた?僕が演説を始めるまでの時間。数時間僕たちは女性たちと熱いバトルをしていたんだよ」


「な、なるほど……確かに。演説のインパクトが強すぎて忘れてたよ」


「僕たちは完全に女性たちを殺すつもりで戦いに挑んだ。その作戦の一つとして火攻めを選んだの。油を多く含んだスライムを作り、ぶちまけ火を付ける。女性たちはたちまち火の中であぶられることになったんだよ」


「鬼畜ぅ!?」

 

 僕の言葉にキララさんは驚愕の声を上げる。


「そうだね……それでも女性たちは僕の遥か上を行った。女性たちは火に包まれ、服が燃えても全然平気。無傷で僕のことを追いかけてきたからね……」


「えぇー」

 

 僕の言葉にキララさんは引いたような声を出す。


「あぁ。そうそう。それで僕の好きな女の子だよね?えぇっと……」

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