第20話
「はーい。どうもこんにちは!スーパー美少女Vtuberのキララだよー」
僕のPCの画面に映っている少女、キララさんがふりふりと体を動かし、手を振る。
「なんとね!今日は!すっごい人がコラボ相手として来ているの!それがこの人!」
PCの画面に僕のアバターが映る。
「どうもー皆さんこんにちは!世界初!そして世界唯一の男性Vtuberのマーリンだよ!バーチャル世界でこんにちは!」
僕はマイクに向かって、いつもしている自己紹介の言葉を告げる。
「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁあああああああああああああああああああああああ!!!」
キララさんの黄色い歓声が響き、コメント欄が爆速で動き出す。
「今日のコラボ相手はなんと!あの男性Vtuber!マーリンくん!」
「どうも。よろしくおねがいしますね。あと、あまり発狂しないでね?発狂しだしたらコラボを即終了だから」
「もちろん!こんな機会!逃すことはしないよ!Vtuberとしても!女としても!オフコラボじゃなくて良かったと安堵している自分がいるわ!」
「そう。それなら良いけど」
「ちなみになんだけど……なんで最初のコラボ相手が私?うちは下ネタバンバンなんだけど……」
キララさんがおずおずと僕に聞いてくる。
「え?そこを突く?蛇が出てきても知らないよ?」
「あ、じゃあ良いわ……」
「まぁ別に突いても何も出ないけどね。単純に僕が下ネタ平気なだけだよ」
「え!?」
僕の答えにキララさんが驚愕の声を上げる。
「え?もしかして僕の配信を見ていない?」
「いやいやいやいや!そんなことないよ!で、でも下ネタ言っていないよね……?」
「うん。僕が下ネタいい出したら暴走しちゃう人が出てきそうじゃん?」
「……確かに」
キララさんが真面目な声色で頷く。
……そこは否定してほしかったなぁー。
「だから言っていないだけだよ。忘れた?僕のエスプリでの名前。マーリンにする前は変態パンツ仮面(美少年)って名乗ってたんだから」
「あ、あれは自分が男であると悟らせないためかと……」
「なわけ。あれは本心よ。僕が美少女キャラしか使っていない理由は、『襲ってこない!』『理性を持っている!』『人間らしい!』女の子は可愛くて好きだからだよ」
「好き!?」
「うん。僕は女の子好きだよ?あくまでも『人間』の、だけどね。燃えながら走ってくるような怪物はノーサンキューよ」
「そんな燃えながら走ってくるような人いないでしょ!」
キララさんは僕の言葉を笑う。
……そうだったらどれほど良かったか……。
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