第18話

「んー美味しい」


「美味しいです」

 

 僕らは食卓に並べられている和葉が作ってくれた料理に舌鼓を打つ。


「それなら良かった」

 

 そんな様子を見て、和葉は満足そうに頷く。

 食卓を囲むのは僕と、和葉と、護衛の人。食卓に三人並ぶのは久しぶりだ。


「「ごちそうさまでした」」


「お粗末さまでした」

 

 食事が終わり、後片付けを始める。


「あ、食器片付けますね」

 

 僕は自分の食器と護衛の人の食器を重ね合わせる。


「いえ。自分が」


「いや、いいよ。お客さんにそんなことさせられないからね」


「で、ですが汚く……」


「別に汚くないよ。よっと」

 

 僕は食器を持ち上げ、キッチン。洗い場まで持っていく。

 和葉も僕と同じように自分の食器を持って洗い場まで持ってくる。


「よし。洗い物してしまいましょうか」


「うん。そうだね」


「何かあったら言ってください」


 護衛の人も立ち上がり、僕についてくる。


「別に座っていてくれてもいいんだよ?」 

 

「いえ、そういうわけにもいきません。ご安心を。私は護衛です。座っている時間より立っている時間のほうが長いのです。最早立っているほうが楽なんですよ」


「そう。それなら良いんだけど」


 僕は視線をお皿に移す。

 残念なことに、今食洗機が故障中なので手で洗うしか無い。僕と和葉は一緒に手際よくお皿を手で洗っていく。

 僕は和葉と雑談しながら洗い物をしていく。


「よし、最後」

 

 最後のお皿についていた洗剤を水で流し終える。

 

「終わった……よ?」

 

 僕は近くに立っている護衛の人のほうを向く。


「ハァハァハァハァハァ」

 

 そこにいるのは護衛の人。

 顔を真っ赤に染め上げ、息を荒らげる。足をもじもじさせている。


「え……っと?」

 

 僕は首を傾げる。

 ど、どうしたんだ?


「す、すみません……」

 

 護衛の人は僕に向かって頭を下げる。


「私たちはちょっと特殊な訓練を受けていまして……。訓練内容は省略しますが、私たちはまぁ、簡潔に言うと寝取られ。を性癖とするような訓練を受けているんですよ」


「え……?」

 

 固まる。

 僕の思考回路が完全に停止する。

 頭真っ白、白。


「自ら手を出すのではなく、男の人が他の女とイチャイチャしている、Hなことをしているのを見るのに興奮を覚える。というのが私たちなのです。そういう訓練を受けているのです。だからこそ、なんです。少し前のはその……本当に例外なのです。あれだけ男の人に近づかれたのが初めてで……」


 なるほど。……なるほど。なるほどね。

 ふっ……。

 やはりこの世界にまともな女性がいるわけがなかったんだね……。

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