第11話

「こんな可愛い子……!あたい、滾っちゃうわ!」 

 

 目の前のオカマ(?)は僕の方に近づいてくる。

 肩にかけたポーチからメイク道具と思わしきものを取り出し、僕の前のテーブルに乗せていく。

 その種類はびっくりするくらい豊富だ。

 

「!?メイク、さん?」

 

 僕は呆然と言葉を漏らす。

 信じられない……メイクさん、だと!?

 ……確かにメイクの経験は豊富なのかもしれない……。

 

「あ、安心してちょうだい?あたい、男の子だから」


「なるほど……」

 

 ちゃんとオカマだったか。

 確定オカマだったか。

 ……ん?

 

「心は女のつもりだ・け・ど!」


「え……?」

 

 ……それは、良いのか?ダメじゃね?

 体は男で、心は女。

 ……いや、女やん。

 それは。アウトでは?バチクソアウトでは?間違いようのないアウトでは?

 アウト寄りのアウトでは?

 ……大丈夫なのか?これは。アウト判定じゃないの?


「あ。安心してちょうだい。あたいも昔女の人からの視線に恐怖して苦労したから。あなたを襲ったりなんかしないわ!同じ男だと思ってちょうだいね!」


「あぁ。はい。わかりました……あの、怖くないんですか?こうしてお仕事としてやっているということは女性とも関わらなきゃいけないと思うのですが……」

 

 僕は目の前の確定オカマに疑問を投げかける。

 いくらオカマだと言っても、体は男。女性が怖くないのだろうか?

 もしかして心は女性だと女の人は発情してこないのだろうか?


「そのためのこの筋肉よ?この筋肉のおかげで私は今こうしてこのお仕事をさせてもらえているの」


 ……なるほど。

 …………なるほど。

 ………………なるほど。

 ……………………なるほど。

 …………………………なるほど。

 なるほどね!?


「メイクお願いしますね!」

 

 全然わからない。

 筋肉?筋肉はすべてを解決するのか?

 筋肉があればあの化け物に勝利できるのか?

 

「任せてちょうだい!ダイヤモンドよりも輝いているあなたをさらなる高みに連れて行ってあげる!あたい宝石類が好きなのよ!あ、それとあたいにはタメでいいわよ?生物学上は同性だからね!あたいだってあなたと同じ道を辿っているから、相談上家つけるわよ?」

 

「はい!ありがと!」


「えぇと。今大丈夫でしょうか?」


「あ、はい」

 

 社長さんが僕に話しかけてくる。


「以前連絡したんですけども、もう一度予定の確認の方をしても構わないでしょうか?」


「あ、はい。大丈夫です。よろしくお願いします」

 

 僕は確定オカマさんからメイクを施されながら、社長さんの話を聞いた。




 カクヨム文芸部 書評バトル!らしいですよ?

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