第8話
「さて、本題に入りましょうか」
「はい」
「我が国としては男性の自殺問題を真っ先に対処すべき事柄として認知しています」
「……それは、その、すみません」
僕は深々と頭を下げる。
「いえいえ。そんな。賢人様が謝られることではありません。全ては我々の失態です。こちらこそすみません」
岸田さんも僕と同様に頭を下げる。
……まぁ謝罪は受け取っておこう。ここでなんか色々話しても互いが互いに譲り合って面倒なことになりそうだし。
「それ、その男性の自殺問題について、僕にどうしろ、と言うのですか?僕なんかが出来ることなんて限られていると思いますが……」
「……」
僕の問いに岸田さんは少し迷いの表情を見せる。
言っても良いものか、と。
「岸田さん。僕もあなた方と同じように男性の自殺問題は非常に憂慮すべき問題だと確信しています。僕に出来ることならば僕は迷わずに実行します。ですが、僕ではどうすればいいかなんてわかりません」
まぁわかるが。
すごく単純な話。僕と女性が楽しく話しているだけでいいだろう。
女性は男性への耐性を獲得し、男性も男性で、僕と普通に会話している女性を見れば女性への忌避感も薄れていくだろう。
そこで僕がまた再び演説をすればいいだろう。男性が女性の性奴隷として結婚させられる結婚から、お互いに愛し合い結婚出来るような状態になるように。
だがしかし、これを僕がやることは出来ない。
僕を襲わず、楽しく話せる女性なんかいないし。和葉以外。
「どうか、僕に出来ることを教えて下さい」
僕が思いついたのはただ話すだけ。
だけど、政府はもっと画期的な方法があるかもしれない。
「では、話させてもらいます。賢人様に女性と交流してほしいのです。安心ください。信頼できる人をこちらで用意しますので」
まぁ、僕と同じか。
それくらいしか出来ることなさそうだもんね。
「はい。具体的にどんなことをしたほうが良いでしょうか?」
「そうですね……」
岸田さんが具体的なことを話してくれる。
簡単にまとめるとアイドルのごとくたくさんメディア露出してほしいってことだね。うん。
なるほど。なるほど。それくらいなら簡単だね。
「了解しました。ぜひやらせてください」
「本当ですか!ありがとうございます!」
岸田さんが僕に向かって深々と頭を下げた。
リアル姿でのメディア露出ね。それくらいな……ら……?
ん……?それ、VtuberじゃなくてYouTuberなのでは……?
……なるほどね……どうやらぁ僕はVtuberとしての活動を出来ない運命にあるようだぁ。
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