第6話
「あぁぁぁぁぁぁぁ」
僕は小さく呻きながら車に揺られる。
「……くんくん」
そして、和葉は僕の頭の匂いをこっそりとくんくんしている。
僕は今、和葉の膝に腰掛けている。僕の頭がちょうど和葉にとって嗅ぎやすいところに来ているのだ。
……嗅ぎたい欲はめちゃくちゃあるけど。何だったら1ヶ月洗っていないような和葉濃度マシマシの和葉の全身をくんかくんかしてベロベロしたいけど、自分が嗅がれるのには抵抗があるな……。
く、臭くないかな?
「大丈夫ですか?乗り心地は」
目の前に座るビシリッとスーツをかっこよく着こなした女性が尋ねてくる。
……ちょっと顔赤くない?
「ん?あぁ、大丈夫ですよ。びっくりするくらい揺れていませんから」
何故かピクリとも揺れていない。少しの振動もない。
……なんでだろうね?和葉。
僕は今、政府の人に要望に答え政府のお偉いさんに会いに行くことに決まった。
決まってしまった。
僕は今政府の人たちが迎えとして出してくれたリムジンに乗って、お偉いさんたちが待っているところに向かっているのだ。
「では、しばしお待ち下さい。もう少しで付きますので』
「はい」
■■■■■
それからしばらく。
テレビで見るような建物にたどり着く。
車は建物の中に入っていく。
かなりの奥へと向かった後、車が止まる。
「着きました。どうぞ」
車の扉が自動で開く。
「はーい」
僕は車から降りる。
車から降りてすぐに見つけることが出来るのが彼女たち。
僕を拉致った人たちだ。
「あれ?」
僕は疑問符を浮かべる。
「僕を襲いかけた人は?」
僕が弄り、僕を襲いかけた人だけが僕を拉致った人の中にいなかった。
「……チームから外されています」
「えぇ!?首にになっちゃったの!?」
「……いえ、そういうわけではない。ただ降格処分になっているだけで……」
「えぇ!?」
僕は驚きの声を上げる。
「す、すみません!」
「すみません!?なんであなたが僕に謝るの!?むしろこっちが謝らなきゃいけないのに」
「……え?」
僕の言葉に目の前の女性がぽかんとアホ面を晒す。
「だって僕が弄っちゃったせいだし……。ねぇ前の人を降格処分をなくすことって出来ない、かな?ほら!こういうところでの僕の護衛、とか?ね?」
「あ、はい!多分出来ると思いますが……よろしいのでしょうか?」
「もちろん!さぁ早く案内して!僕は何処に行けばいいの?」
良かったなぁ。
一人の人生狂わせちゃったのかと焦ったよ。
「はい」
目の前の女性が僕を案内してくれる。
さーて。一体どんな話が待っているのだろうか……。……帰りたい……。
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