第5話

「え……?」

 

 僕は政府から送られてきたメールを見て驚愕する。

 というか政府からメール送られてきすぎじゃね?なんでこんなに送ってくるの?

 今回送られてきたメールの内容は簡単。

 『一度直接会って話したい』というものだ。男性の自殺の問題について直接話し合って考えたい。とのことらしい。

 

「ふーむ」

 

 僕は考える。

 お外に出るのは今でも怖い。

 が、政府の人間は男を見た瞬間にむしゃぶりつくすような人ではない。ということはわかっている。

 なんか僕がまさぐったせいで一人理性をパァン!した人がいたけど。

 まぁあれは前世なら普通に訴えられてもおかしくないようなことをした僕が圧倒的に悪いのだけど。

 それが原因でなにかお咎めを受けたのだとしたら非常に申し訳ない気持ちで一杯だ。謝りたい。

 

「むにゅー」

 

 ここで断っても構わないだろう。

 相手はそれだけ僕を丁寧に扱っている。……がしかし。

 この騒動の原因は長年に渡り女性が男性に恐怖を与え続けていたことだ。だが、一番最初の引き金を引いたのは僕だ。

 ともなれば……何もしない、というのは寝覚めが悪い、かな。少し。

 うん。


「和葉ー!!!」

 

 僕は和葉を呼ぶ。

 僕は未だにメールを返すことが出来ない。僕がやろうとすれば大変な事になってしまうだろう。


「何?」

 

 和葉はいつもどおりノータイムで僕のもとにやってくる。


「このメールの返信なんだけど」


「はい」


「オッケーって硬いそれっぽい言葉で返しておいて」


「……え?」

 

 僕の言葉に和葉は驚きの表情を見せる。


「……怖い、って言ってなかったけ?もう大丈夫になったの?」


「いや?むしろその思いは強くなっているよ」

 

 婚活パーティーの女性たちの化け物っぷりを見て恐れを抱かぬ者はいないだろう。


「じゃあ……」


「それでもこうなった原因の一端が僕にある。責任は取るべきだろう」


「別に賢人が後ろめたい気持ちになる必要はないと思うのだけど……」


「それでも、なんだよ。僕の精神は図太くないんだ。自分が原因で人が死んでいるというこの状況で平然とはしていられるほど……僕は、強くない」

 

 ちょいちょい夢に出るしね。

 彼らが僕を恨んでいるわけない。それでも、僕は無視できない。

 

「……ごめん……」


「和葉が謝る必要はない。というか謝らないで。そんなことをするのなら笑ってて。そっちのほうが助かる。返答よろしくね?」

 

「うん……」

 

 和葉はパソコンを操作する。

 ……さて。

 あんだけかっこよく啖呵を切ったけど……こぇぇぇぇぇぇ。

 今すぐに断るように送ってもらいたい。

 ……あぁ!?送っちゃった……。もう戻れない……。

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