第24話


 バツンッ


 僕は天井に仕掛けていた鋼鉄の網を落とす。

 下で眠っては起きてを繰り返していた女性たちを鋼鉄の網は捕まえる。

 

「退却ッ!」

 

 僕は短く叫ぶ。これ以上は無理。

 その判断からの命令だった。これ以上ここにいては全員ここで捕まってしまう。


「だがッ!」


 僕の言葉にデブは食って掛かる。

 当然だ。ここを抜かれれば時間を稼げるような仕組みはもうほとんど残されていない。


「良いから逃げろッ!これは命令だッ!」

 

「……クソッ!」

 

 デブは悩んだ末、諦めたように銃を投げ捨てる。

 そして、ドスドスと走り出す。

 他の男たちも泣きそうな表情を浮かべ、退却していった。

 女性たちはさも当たり前のように鋼鉄の網を引きちぎっていく。

 それ上に括り付けるのかなり時間が掛かったんだけどなぁ。

 

「ふー」

 

 僕はゆっくりと息を吐き、彼女たちの前に降りる。

 

 シャァ

 

 僕は懐から糸を通りだす。

 操糸術。

 前世で教わった古代武術の中で最も得意なこと。得意な術。

 

「しっ」

 

 僕は鋼鉄の網からわらわらと虫を連想させるような動きで出てくる女性たちを特製の糸で縛り付けていく。

 

 ピシッ

 

 例え相手が怪物であっても簡単に斬り裂く事のできる、前世からのお供である特別な糸は……女性たちを斬り裂けない。

 

 プツンッ

 

 それどころか、あっさりと切られる。

 

「くそっ」

 

 こいつらは本当に人間なのかよ!?

 糸が切られても諦めずに新しい糸を取り出し女性たちを拘束していく。

 だが、これ以上は僕も無理だった。

 反転し、逃走を開始する。

 まだ麻酔薬が完全に抜けていないのか、少し動きが鈍くなっている彼女たちから逃げるのは簡単だった。

 

「よっと」

 

 僕は女性たちとかなりの差を保ったまま壁を超える。

 僕は装置を操作し、扉を閉める。

 今僕の目の前にある扉は銀行の金庫と同じような作りの扉だ。

 これで少しは時間が稼げるはずだ。


「ハァハァハァハァ」

 

 僕の体力ももう限界に近かった。満身創痍とはこのことだね。


 ダンッ

 

 扉が鈍い音をたてる。

 女性たちがこの扉に体当たりしたのだろう。

 この扉は元々備え付けられていた扉であり、体育館のシャッターよりも硬い。破るのにはそこそこの時間をかかるだろう。

 それでも10分が限界だろうけど。

 体育館の時は脱出経路をあえて作ることで相手から壁を、シャッターを壊すという選択肢を奪ったわけだけど。今回の場合はそういうわけにもいかなった。仕掛けを作る時間も、施す仕掛けのアイデアもなかったのだ。

 


「はぁー」

 

 僕はゆっくりとため息をついた。









 ……なんかさ。

 ラブコメじゃなくなってね?

 ローファンタジーになってきてない?バトル展開長くね?

 Vtuberどこに行ったの?

 やっぱ彼女いない歴=年齢の童貞にラブコメは難しい。

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