第21話
「はぁはぁはぁ」
三階のありとあらゆるところを走り回り終えた僕は壁の右端を蹴り飛ばす。すると、そこが抜け、奥に行くことが出来るようになる。
僕はしゃがみ込み、這って進む。
ここから四階に行けるのだ。
四階への階段は封鎖してある。
セメントでガチガチだ。この学校マジでなんでもある。セメント作れる施設がある学校って可笑しくない?別に工業高校ってわけでもないのに。
勉強したいと思ったことはなんでも勉強させるという日本の意思が反映されている……。
「んしょ」
僕は壁に開けた穴をあらかじめ作っておいた板で塞ぐ。
四階への入り口は天井に穴を開け、そこから垂らしたはしごを昇ることで行くことが出来る。
僕らがこの天井を開けるのに一体どれほどの時間がかかったことか。文明の器機を利用してもギリギリだった。
四階へ至るはしごは見つけられないように壁を作って誤魔化している。
本来の壁 はしご 僕らが作った壁 廊下
こんな感じだ。
くくく。
理性がパンッ!されているこの世界の女性たちにはさぞ効果的な作戦だろう。彼女たちに壁の違いなど、わかるまい。
それに加え、この三階の至るところにくっせぇ布を置いてある。
どうせ異次元レベルの存在である女性たちは僕の匂いを辿って追ってやってきそうだから、くっせぇ布で撹乱するのだ。
「のっと」
はしごは回収しない。
どうせ回収してもジャンプで来れてしまいそうだからだ。
僕は長い廊下を歩く。
「やぁ」
そして、広い大広間へと抜ける。
ここが最終防衛ライン。最後。ここが最後だ。
ここで守りきれなけらば僕らの負けだ。
一応この先も足止めが出来るように工夫してあるけど、大した性能はない。さっさと抜かれてしまうだろう。
「賢人!」
「よくぞ無事で!」
「流石!」
戻ってきた僕にみんなが拍手してくれる。
「あぁ、うん。ここで僕がやられたらあっさりと全滅しちゃいそうだしね。それで?準備は出来ている?」
「はい!もちろん!すべて準備の完了しているよ!」
ここで僕らは戦うのだ。
一応この場は婚活パーティーなのだ。
男と女の数にそこまでの差はない。2倍くらいだ。
……2倍でも十分すぎるくらいの差なのだが。
所詮は2倍しかない。ありとあらゆる準備を整えた今ならなんとかなるのではないかという楽観的な希望がある。
直接戦闘とか愚策も愚策なのだが、仕方ない。
準備時間一時間ならこれが限度だ。自分たちで戦って時間をかせぐしか無い。
「はい!どうぞ!」
「ありがと」
僕は女男から僕の分の銃を受け取った。
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