第20話

 僕の背後を燃えていて、四つん這いで、よだれを垂らす。全裸で美人なお姉さんたちが僕のことを追いかけてくる。

 なんでこの人達は燃えていて、四つん這いで、よだれを垂らしているんだ!?

 ただの全裸で美人なお姉さんたちだったらやぶさかでもないのに!?和葉への罪悪感を抱きながらなんやかんや喜ぶのに!

 それはそれ、これはこれ。


「らっ」

 

 僕は廊下を走る。

 この長い廊下に他の男達の姿は見えない。

 よかった。

 彼らはなんとか逃げてくれたようだ。


「よっと」

 

 僕はくるりと反転。

 

「ラァ!臆するぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああああああああああああああああ!!!」

 

 そして僕は追いかけてくる彼女たちに突撃した。

 

 僕を包み込む柔らかい感触と甘ったるい匂いと視界一杯の肌色。

 

 僕の触感、嗅覚、視覚で僕を誘惑してくる。


「ふんにゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああああああああああああああああ!!!」


「んごぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」


「ジュルルルルル」

 

 僕が飛び込んだことにより全員が困惑の渦に叩き込まれ、沸騰する。 


 獣のような遠吠えとよだれを大量にすする音。

 

 僕の聴覚が意識を現実へと戻させた。

 僕は駆け抜ける。

 伸びてくる手、口、性器を弾き飛ばしながら。

 そして───────

 

 パリンッ 

 

 僕は窓ガラスを割り、落ちる。

 

 ヒュー

 

 僕を追いかけてすべての女性たちは窓ガラスを割り、落ちてくる。

 なんだろう。前世で見たとある作品の、とある要塞に落ちていく知性がない巨人たちを思い出した。

 あの作品の完結を見たかった。漫画はすでに完結していたらしいけどアニメは完結しておらず、アニメ勢である僕は完結を見れていないのだ。

 僕はそんな事を考えながら体育館で使った銃を使い、撃つ。

 一度見せた手札だが、理性が沸騰している彼女たちはそんな事考えないだろう。バカみたいにそのまま突っ込んでくること間違いなしだ。

 そのために僕はわざわざ彼女たちの方に凸ったのだから。


 僕は昇る僕に伸ばしてくる彼女たちの腕を弾き、悠然と上がっていく。

 一瞬の攻防なら流石に訓練している僕に分がある。


「よっと」


 僕は誰もいなくなった三階に一人降り立つ。


「ふぅー」


 あー、怖かった。マジで怖かった。死ぬかと思った。

 燃えながら追いかけてくるってなんだよ……怖すぎるわ。和葉でもそんなことしないぞ。多分和葉は身震いだけで炎を消す。以前キッチンで上がった炎を握り消していたし。

 僕は一人他のみんなが待っている四階へと向かった。

 

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