第17話
「にゃ、にゃが……。も、もしかしてジャンプで天井を突き破ろうと……?」
「いや、それは違うと思うよ」
震えながら話したの女男の言葉を否定する。
「流石に天井までジャンプするほどのジャンプ力はない」
現に僕にぎりぎりのところで僕には届かなかった。
「さっきのはおそらくシャッターに向かって攻撃を加えた音だろう」
「しゃ、シャッター……。なるほど!それなら安全だ!あのシャッターはすごいからな!元々在校生だった俺が保証する!」
女男が自身満々に告げる。
「そうか。でも忘れるなよ?今下には数えるのも馬鹿らしくなるくらいの女がいるんだ。全員が一斉に攻撃を加えれば壊される可能性もある」
「ひっ……!」
僕の言葉に女男が悲鳴を上げる。
「まぁあくまで可能性ってだけだ。実際にあのシャッターの強度はかなりのものだったからね。なかなか壊すのは難しいと思うよ」
何を使って作っているんだと思うくらいの硬さを持ったシャッターだし。
和葉の髪一本に匹敵する硬さを持っている。ちなみに和葉の髪は三本束ねればダイヤモンドを真っ二つにすることは出来るアタオカ性能だ。
「まぁだからと言って油断は出来ない。彼女たちは平然と水面を蹴ってジャンプすることが出来るから。水位が上がればいつかは天井に届いてしまうはずだ。これはあくまで時間稼ぎのためのものでしかないからね」
「なるほど……ん?それじゃあなんで水を入れるんだ?」
「簡単だよ。壁を殴って壊されないようにするためだよ。シャッターはクソ硬性能だけど、壁はそこまでじゃない。やろうとすれば簡単に壊されちゃうでしょ?だからあえてここから出るための簡単な手段を与えてあげたの。待ちさえすれば二階にまで行けるという手段をね。人間ってのは簡単な手段を与えられればその方法にすがり、自ら考えるのをやめてしまうのだよ」
「なるほど!」
女男が頷く。
まぁぶっちゃけただの博打なんだけど。
ただ一発壁を殴られたらすぐにこの作戦は破綻するだろう。
水位が上がり、待っていれば二階に行ける。ということに気づき待ってくれればいいのだけど。
ちなみにこの作戦に自信など無い。
「というわけだ。さっさと上に上がるぞ。上手く行けば一時間くらいは耐えるだろうけど。もしかしたら今すぐにでも破壊される可能性があるんだから」
「はい!」
僕はスライムの入ったバケツを手に持ち、歩き出した。
そして、ここにいる一部の男たちは僕と同じくスライムの入ったバケツを持って僕の後についてきた。
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