第15話

 僕は大地を駆け抜ける。

 限界を越えて。


「「「いぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!!」」」


 だがしかし、彼女たちの身体能力はまさに化け物。

 このままでは簡単に捕まってしまうだろう。

 

「ふっ」

 

 僕は懐から薬を取り出す。

 なんかこうしてああしたら出来る薬を。

 僕は注射器を取り出し、その薬を打ち込む。

 頭が沸騰し、視界がクリアになる。

 五感が研ぎ澄まされる。


「んっ」

 

 僕はスピードを上げた。

 一気に突き放すべく全力で疾走する。


「「「おぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああああああああああああああああああああ!!!」」」

 

 それに対して女性たちも速度を上げる。

 薬を打った僕の速度に彼女たちは当たり前のようについてきた。 

 速度は同じくらい。いや、向こうの方が少し早いくらい。

 しばらくの間なら逃げ切れそうだ。

 ……まったく。本当にでたらめな存在だ。薬を打った僕に匹敵する速度を持つとか頭おかしいんじゃないか。

 確かに薬程度で逃げれないだろうとは思っていたが……実際にそんな状況になると……心底彼女たちに恐怖を覚える。


「のっと」

 

 僕は玄関を通り、校舎内に入る。

 走りながらもともと作っていた装置を作動させ、靴箱を倒す。


「いぃぃぃぃぃぃいいいいいいいいいいいいい!?」

 

 僕は呆気なく吹き飛ばされていく靴箱を見て変な声が出る。

 靴箱は彼女たちにとって何の障害にもならなかったようだ。

 いや、さ。大した障害になるとは思っていなかったけどさ……。

 せめて、飛び越えるとか、パンチ、キックをするとかタックルの態勢に入るとか。そこらへんのなんかがあっても良いのでないだろうか。

 マジで。走るフォームのまま、まるで目の前になにもないかのように凸ってきやがった。

 し、信じられねぇよ。おい。


「にょ、ほっ、っせ」

 

 僕は一切の速度を落とさず、一生懸命作った装置を用いて足止めを試みていく。

 だが、そのほとんどが意味をなさない。10分の1の装置くらいだけほんの少し動きを止めたかな?っという程度。

 いや、その少しが重要なんだ!

 僕は自分を鼓舞しながら一生懸命走る。


「「「うごぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」」」

 

 そして──────

 

 見えてきた。

 

 僕のゴールが。

 ひとまずのゴールが。

 僕のゴール。

 僕らの最初の決戦場。

 一番最初の大規模な仕掛け。

 

 その場所。

 その場所は一階にある大きな体育館。

 開かれた体育館の入口を僕の視界が捉えていた。

 

 僕は体育館の入口を越え、中に入った。

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