第13話

「……多いな……」

 

 僕は窓の外から見える大量の女性たちを前に眉をひそめる。

 正門に群がる彼女たちを人間と呼んで良いものか。最早二足歩行を忘れ去り、口からよだれを垂らし、狩りの時間を今か今かと待ち構えている。

 そして、一番に校内に入れる正門前の場所を争い、戦っている。

 行われるは怪獣大合戦。

 ものすごい轟音を響かせながら戦っている。……こ、これが大和魂だというのか?

 

 つー。

 

 僕の額に一筋の汗が流れる。

 

「ふー」

 

 僕はゆっくりと息を吐く。

 落ち着け。

 ……作戦の肝は僕がどれだけ時間を稼げるかだ。

 僕が怖気づいてどうする。

 僕は前世で何と戦ってきた?どんな化け物とたたか……え?僕は前世で戦ったなど無いぞ?

 

 ドゴン!

 

 僕が考え込んでいる間にも怪獣大合戦は進んでいく。とんでもない戦いが繰り広げられている。

 僕らはあんな化け物どもと戦わなくてはいけないのだ。

 こんなところで油を売っている暇なんて無い。

 僕は混乱した頭を振り払うように頭を振る。

 そして、僕は防衛陣地を築くために駆け出した。 

 

 ■■■■■

 

「はい!」

 

 僕は女男から綺麗な布を渡される。

 戦いの前の腹ごしらえのため、みんなで集まっていた食堂で僕は女男から詰め寄られていた。

 

「え?何?」

 

「何?じゃないですよ!俺達もやったんですから、賢人くんも!」

 

 ピシッ。

 僕の表情は固まる。

 

「いや、いいから」

 

 そして僕はすぐさま否定する。

 じょーだんじゃない!!!コイツラの前で新鮮ある儀式をするとかありえねぇ!自慰行為が世界を作ったんだぞ!


「なんでですか!」


 僕の答えに対して女男は不満げな声を上げる。


「僕には作戦があるの!その作戦上僕のはいらないの!」


「さく、せん?」


「あぁ!そうだ。あんな化け物どもと戦うのに無策で挑むか!弱者は知恵を張り巡らせて勝利するんだよ!君たちは僕の作戦に従ってくれればいいから」


「……はーい」

 

 女男。なんでお前はそんなに残念そうなの?僕の自慰行為が見たいの?


「それで?作戦とはなんなんだ?」

 

 僕の目の前で尋常無いくらいの飯を頬張っているデブが僕に問いかけてくる。


「作戦について語るのは後だ。美味しい食事中に女の話なんてしたくないだろう?」


「あぁ!確かにそうだな!こんなに可愛くて愛らしいご飯たちの価値が落ちてしまう!」

 

 デブはそう言うと、勢いよくスプーンを動かし始めた。

 流石はデブ……食べるのが早い。そして量もすごい。

 すっごくゆっくりと少ない量を食べている女男とは雲泥の差だ。

 僕はそんなことを考えながら自分の分であるカレーライスを口に入れた。

 うん。美味しい。

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