第12話
「なるほどな……」
僕はこの学校に通っているという男の子から貰った学校の地図を眺める。
「ベタなのは地下に隠れることか……」
だが、地下に隠れるのはあまり得策ではないだろう。
女性たちがこの学校に入ってくる正門から地下までの距離は短い。出来るだけ距離は長いほうがいいだろう。
「おい」
僕は隣に立つ女男に声をかける。
「はい!何?」
「これに匂いをこすりつけろ」
僕は大量の布を取り出し、示す。
「え?む、無理だよ……。雌豚共は嗅覚が鋭くて匂いがこすりつけられた布と本体の違いなんか見分けちゃうんだ」
……め、雌豚共。サラッと出てきた女男の言葉に僕は頬を引きつらせる。
なるほどね。ツイフェミが激怒するよ?この世界にはいないだろうけど。
「それはただ匂いを擦り付けようとスリスリしただけだからだろ。唾液を垂らすとか、汗を拭くとか、精子をかけるとかするんだよ」
何に使ったとは言わないが、まぁティッシュをね。和葉は間違えてティッシュに向かって僕の名前を呼んだことがあるのだ。
和葉でも騙せるのだから、他の女たちくらい騙せるでしょう。むしろ騙せてくれなきゃ困る。和葉を越えられたらどうしようもない。
和葉なら正門からジャンプで最上位階である5階に上がってくるだろう。
そんな彼女を越えられたら流石に勝ち目はない。
まぁでも流石に和葉を超えることはないだろう。あれはもう人間じゃない。
「えぇぇぇぇぇぇぇぇえええええええええええええええええええええええええ!?」
僕の言葉に女男は驚愕の声を上げ、顔を赤らめる。
この場にいる男全員が顔を赤らめ、もじもじしだす。
なんだここ?
なるほど……。
ここが地獄か……。
「え、ちょ……な、何を言って……」
「何を言ってじゃない。そのままの意味だ。僕らが生き残るにはもうこれしかない。こうするしかないんだ」
「え……」
女男は固まり、うろたえる。
「……わかった!」
女男が動き出すよりも前にデブが動いた。
スボンに手をかける。
お粗末なタガーがこんにちは。
デブは布をガシッとつかみ、鞘とした。
「俺らはやると決めたのだ!ここでやらぬのならいつやるのだ!」
デブの上半身は真剣だった。
デブの下半身は最低だった。
「そうだね!」
それに合わせて他の男どもも腹をくくったようだった。
次々と顕になっていくタガーと量産されていく鞘。
うん。
うん。
うん。
……これ以上。
これ以上ここにはいられない。
僕がおかしくなってしまう。
僕は早足にこの場を後にした。
もう二度とここには戻ってこない。戻ってくるものか!
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