第9話

「婚活、パーティ?」

 

 僕は呆然とつぶやく。

 婚活パーティー。

 それは、未婚の男性と未婚の女性によって行われる婚活パーティー。

 それは、未婚の若い女性が男を求めて、狩りを行う婚活パーティー。

 地獄の狂想。地獄の狂騒。地獄の狂宴。

 

「なんで……?」

 

 僕は訳が分からず困惑する。

 なんで……?なんで……?なんで僕が?

 

「いやぁァァァァァァァァァァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!」

 

 僕の隣に立つ女男は悲鳴を上げ、蹲る。

 悲鳴を上げているのは女男だけではない。この場にいる全員が恐慌状態に陥っていた。

 そんな中、僕は一人呆然と立ち尽くす。

 本来この場に集められるのは未婚の人間のみ。僕には和葉がいるんだが……?婚約者の段階でも十分だったはずだ。

 

『落ち着いてくれ』 

 

 女性のよく通る声がこの場に響き渡る。

 まぁ何の効果もないんですけどね。

 

「一つ質問いいか?」

 

 そんな中唯一液晶の方を見ていた僕が手を上げ、告げる。


『はい、どうぞ。何でしょうか?』


「僕には婚約者がいるのだが、なんで僕までここにいるんだ?」

 

 ここに集められるのはランダムで選ばれた15歳から25歳までの未婚の男性。婚約者がいる僕は対象外のはずだ。

 なのに、なんで僕はここに立っているのだ?


『はい。あまり知られていないことですが、15歳から25歳の方で自力で十億円以上稼いだ人の場合は、3人以上の婚約者が作らなければ行けないのです。賢人様はすでに十億円以上を稼いでいますので』

 

 ……え?

 僕はその言葉を聞き、固まる。

 十億円。そんなの端金だと言い切れてしまうくらいにはお金を稼いでいた。

 ……お前、本当に嫌なことしかないな!Vtuber!!!

 というか、なんであまり知られていないんだよ!もっと知らせてくれ!頼むから!

 多分僕みたいなよくわかんないやつじゃない、しっかりと十億円稼ぐようなほんの人握りのやつはそういうのを知っているんだろうけども!

 

「な、なるほど……」


『慌てないのですね……』

 

 素直に頷いた僕を見て液晶モニターに写る女性は驚きの表情を浮かべる。


「まぁ慌てたところで、だしね。詳しいルールを教えてくれ。確か男側も抵抗して良いんだろ?」


 一応ルールも決められていたはずだ。

 無抵抗のまま男が女に食われるだけのイベントではないということを一応知っていた。

 ふと気になってネットで軽く調べただけの浅知恵だが……クソ!こんなことになるんだったらもっと真面目に調べておけばよかった。

 

『はい。了解しました。えっとですね……」

 

 液晶モニターに写る女性は説明を開始した。

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