第8話

「う、う〜ん」

 

 僕は周りの喧騒が気になり、唸る。


「起きてください!起きてください!」


「……うるさいんだけど」

 

 僕は自分を揺さぶる人に起こされる。


「あ、ようやく起きたんですか!」 

 

 僕の耳に聞こえてきたのは男の人の声。……ん?男?

 寝ぼけ眼をこすり、視線を上に上げる。

 そこに立っていたのは一人の男。


「いやぁ、よかったですぅ」

 

「うげっ」

 

 僕は思わず顔をしかめる。

 僕の前。僕の前に立っているのは前世によくいる普通の男。

 別にショタってわけでも、小柄ってわけでもない男が身長も高めでガタイも良くてヒゲも生えている男がウネウネとまるで女のような気弱そうな動きをした男が立っていた。

 ……普通はショタがいるもんじゃない?ここは。


「えっと。何処だ?ここは?」

 

 僕は体を起こす。

 

「ん?」

 

 僕の視界に入ってくるのは男、男。

 男だけだった。

 この場には20人近い男の人が集められていた。

 ……あ?なにこれ?

 

「ふん!ようやくお目覚めかよ!」

 

 後ろから男の声が聞こえてくる。……女の声プリーズ。男の声とか要らんわ。男の声とか今世で初めて聞いたわ。

 今、僕のテンションは地に落ちていた。

 

「何?」

 

 僕は後ろを振り返る。

 そこには脂ぎっとぎっとのデブがいた。

 寝っ転がった。


「無視するなぁぁぁぁぁぁぁぁああああああああああああああああああああ!!!」

 

 圧倒的な不快感を植え付ける声が響き渡る。

 ……くせぇ。

 なるほど。ここが地獄か。


「だめだよ!ふたりとも喧嘩なんかしちゃ!」

 

 女男が仲介に入る。

 

「はぁー」

 

 僕は大きくため息をつく。

 ……和葉が恋しいわ。


「にょっと」

 

 僕は立ち上がり辺りを見回る。

 ……出口は一つ。鉄で出来た扉というわけでもなさそうだし、普通に蹴破れそうだ。

 窓はなし、上に大きな照明が一つ。

 床、壁、天井はすべて鉄。

 僕から見て左側の壁には巨大な液晶モニターが設置されていた。

 

 コンコン

 

 僕は床の鉄を叩く。……道具も駆使して全力で行けば壊せる可能性もあるか。

 次に自分の服装を確認する。

 着替えさせられてはいないようで、いつも携帯している小道具なんかは普通に入っている。


「ねぇ、一体何のためにここに連れてこられたのか知っているのか?」

 

 僕は女男に声をかける。


「え?えっと……わからないかな。なんか政府の人たちについてこいって言われて……」

 

 なるほどな。

 男を強制的に集めて何をするつもりだ?

 僕が思案の中に潜ろうとしていた時、声が響く。

 女性の声が。

 僕は見上げる。

 さっきまで何もついていなかった液晶モニターに女性が写っていた。


「全員いるようだな。では、始めよう。婚活パーティーを」



 ちょっと早いけど。

 あけおめ、ことよろ。

 新年も今作をよろしくおねがいします。

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