第6話

「どうしよう……」

 

 僕は頭を抱えていた。

 PCを前に。

 どうしよう。マジで頭を抱えていた。

 こんな大事になるとは……。

 放送事故……これをまさか僕がすることになるとは……。

 前世で放送事故やらかしているところを見るのは面白くてちょいちょい見ていたけど、まさか自分がやらかすことになるとは……。

 なんで!なんで!なんで!

 配信がついているのさ!僕はオンになんてしていないんだけど!?


「どうしよう……」

 

 まさか全世界に自慰行為しているときの音が配信されているとは……。

 別に垢バンとかもされていなし、全世界に配信された事自体は別にいいんだけど……。


「賢人!お昼ごはん出来たよ!」


「はーい!」

 

 和葉の僕を呼ぶ声が聞こえてくる。

 問題なのは僕の自慰行為全世界配信による影響だ。

 まさか一ヶ月間もこの世界のほとんどの人が理性を失うとは思わなかったよ。

 なんとか既婚者であるお国のお偉いさんがなんとか国という形を保持しようと努力しているおかげで、僕は命の危険に陥ること無く平和な生活を享受することが出来ていた。

 国がご飯を配給してくれるし、和葉が狩りに行ってくれるし。

 ちょっと北極に行ってホッキョクグマ狩ってきたと言われたときは度肝を抜いた。

 というかこの世界には希少動物の保護という考えはないのか……。この世界パンダとかいろんな動物が絶滅している。

 動物?知らん。そんなのより男。

 絶滅?知らん。そいつが弱いのがいけない。

 弱肉強食。弱きは滅亡する。これが世界唯一のルールなんだそうだ。考え方がワイルド過ぎてちょっとついていけない。

 

『運命の日から早いことで一ヶ月。ようやく社会に秩序が回復してきました。しかし、それでも依然として男性に対する犯罪は止まらず……』


「怖いわね」


「……うん」


「でも、安心して。賢人は私が守るから。例え国が相手でもね」

 

 ……本当に出来そうだから怖い。和葉は。


「で、でももう二度とあんなことはしないでね?……その、私の賢人の……その」


「……うん」

 

 僕は頷くことしか出来ない。

 謝りたいところだが、謝ったらそれでまた面倒なことになるので謝らないが。


「わ、わかってくれたなら良いの!」

 

 ……Vtuberはちょっと辞めたほうが良いかも知れない。

 これでこのまま活動を続けたらとんでもないことになってしまう。

 なんか、欧州でもまた戦争の火種が燻っているらしいし。

 戦争の理由は男を求めてらしい。まぁ元々内乱や紛争していた理由が男を巡って出し、何も変わっていないような気もするけど。

 ……僕が理由で戦争とか絶対嫌なんだが……。僕に出来ることなんてないけど。

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