第2話
「うーん」
僕はパソコンに表示されている画面を見て唸る。
パソコンに表示されているのは結婚指輪の購入画面である。
「高い……」
僕はボソリとつぶやく。
結婚指輪。
それはこの世界において一部の勝ち組にしか買えない最高級品。
結婚指輪を買う人は皆信じられないくらいに高いものを買う。最低金額でさえのものでさえ、億超えが当たり前である。
大してものが良いやつじゃなくてもだ。
それにこの世界の女性は宝石類にあまり興味を示さない。
この世界のほとんどの人が大して求めていないのだ。発掘なんかも全然されていないので流通量もさほど多くはない。
そして何より、この世界の結婚指輪は女性が男性に上げるもの。
女性と男性が同じものをつけるというものではない。
基本的に出会いから結婚までの流れが異常に早いこの世界だと女性が男性に初めて上げるものが結婚指輪なのだ。
それ故に馬鹿みたいに頑張り、びっくりするくらいの値段のやつを買うのだ。
だから、この世界の結婚指輪はクソほど高い。
僕は男だから政府から十分すぎるほどのお金は与えられるのだが、いかんせんゲームなどで散々しすぎてそこまで貯蓄があるわけではない。
結婚指輪を買えるほどのお金はなかった。
「うーむ」
僕は唸る。
別に僕が結婚指輪を買う必要はない、ないが……前世の記憶を持っている僕としては買ってあげたい。
何故か男女平等のはずなのに、男が結婚指輪を買うという文化が根づいている前世の記憶を持っている僕としては和葉に指輪を買ってあげたい。和葉とお揃いの結婚指輪をつけたい。童貞である僕にとって結婚指輪は憧れのものなのだ。
それに和葉に結婚指輪を買ってあげて、驚きの表情が見たい。喜ばせたい。
「はにゃー」
だが、金はない!
お母さんに頼めばくれるだろうが、自分のお嫁さんに買ってあげる結婚指輪のお金をお母さんに出してもらうのはあまりにもダサすぎるだろう。
お母さんも和葉も何も言わないだろうが、僕が嫌だ。
じゃあ僕が何かしてお金を稼ぐか、と言ってもそういうわけには行かない。
ヒキニートやっている僕に何かお金を稼ぐための知識はないし、そもそも男の子が働けるような職場はない。
僕が働いたら、みんな仕事どころの話ではすまないだろう。
そんなことを考えながらぼーっとパソコンの画面をスクロールしていると、ある一つの広告が僕の目に飛び込んでくる。
「あ、これだ」
そこには大きく可愛いらしい女の子とともに『新人Vtuber募集!』と言う文字が書かれたとあるVtuber事務所の広告が掲載されていた。
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