世界初の男性Vtuber!?

第1話

「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああああああああああああああああ!!!」

 いつもはおっとりとしていて余裕のある大人な姿を見せているお母さんは今泣き叫び、僕の足にしがみついていた。

「このまま家にいたいー!!!賢人ちゃんといたいー!!!」

 今日。

 お母さんは元いた海外に戻らなくちゃいけないんだ。

 お仕事の関係上お母さんは日本よりも海外にいることのほうが多い。

 だが、僕は日本を離れるつもりはない。

 日本の治安いいし。海外はちょっと怖い。

「お母さん」

 僕はぽんと優しくお母さんの肩を叩く。

「……賢人ちゃん……」

 お母さんが僕にすがるような視線を向けてくる。

「行け」

 僕はそんなお母さんの期待をバッサリと切り捨てる。

「賢人ちゃんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんん!!!」

「お金を稼いでこない親なんて親じゃないんだよ。ちゃんと僕が楽しく生きるためにたくさん稼いできてね?」

 僕は足にしがみついているお母さんを丁寧に振り払いから離れる。

「親は道具。親なんて自分が楽しく生きていくための道具でしか無いの。僕が楽しく生きるためにお金を稼いできてね?」

「うぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅううううううううううううううううううううう」

「……え?」

 僕の言葉にお母さんはうずくまり、和葉は少し引いたような表情を見せる。

 ……え?なんか僕変なこと言った?

「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああああああああああああああああああ」

 お母さんはゆっくりとうめき声を上げながら立ち上がる。

「準備してくる……」

 お母さんはノロノロと歩き出し、海外に飛ぶための準備を始めた。

 

 リビングに僕と和葉だけになる。

「「……」」

 僕と和葉の視線が交わる。

「……っ!」

 クリスマスのことでも思い出したのか、和葉は頬を赤らめて顔を背ける。

 ふふふ、かわよすかわよす。

「……する?」

「……!?」

 僕が笑みを浮かべて告げると、和葉は顔をりんごのように真っ赤にし、下からは以下略。

 

 ■■■■■


「じゃあお仕事頑張ってねー」

「うぅぅぅぅううううううう」

 未だに唸っているお母さんを見送る。

「お仕事頑張ってくるね……」

 ずっと玄関で唸っていたお母さんがようやく靴を履く。

「またお正月に帰ってくるね」

「ん。了解。じゃあ、バイバーイ」

「……うん」

 玄関のドアが閉まり、ようやくお母さんが出ていった。



 ……季節感!

 今気づいたけど季節やばくね?

 少し前に和葉と海に行ったばかりなのに、クリスマスが来ちゃったじゃん!特別SSで!

 この世界のクリスマスは夏にあるのだ(震え声)

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る