クリスマス特別 SS2
「ねぇ、和葉」
「ん?なぁに?」
僕はパソコンなどの機械類が置かれたテーブルから離れ、部屋の中央に置かれているテーブルのほうに向かう。
和葉も股からぴゅるぴゅると汁を出しながら僕のベッドから降り、テーブルの方に来る。
「ケーキ作ったの」
僕は自分の部屋に置いてある冷蔵庫からケーキを取り出し、テーブルの上に置く。
「おぉ!賢人が作ったの?すごいじゃん!」
「でしょ?一緒に食べよ?」
「うん!……お義母様はいいの?」
「……ふ、二人で一緒に食べたかったから!」
若干顔が赤くなっていることを感じつつ、和葉の方を見ないようにしてケーキを切り、お皿に取り分けていく。
「賢人……!」
「ほら!食べよ!」
「うん!」
僕と和葉は手を合わせる。
「「いただきます」」
■■■■■
「美味しかった……」
「そう言ってもらえて嬉しいよ!」
僕は空になったお皿をフォークを片付けていく。
……和葉は意外にもすっごく食べた。ちゃんとしたホールのケーキを作ったのに、一人で4分の3を食べていた。明日の分もあったんだけどな。
すっごく良い食べっぷりだった。
……。
…………。
しばらくの間微妙の沈黙が続く。
今までにない沈黙が、雰囲気が僕達の間に流れる。
「……男の子との初めてのクリスマス……忘れられないものしたいな」
ゆっくりと和葉が僕の手に自分の手を乗せてくる。
……。
…………。
「ふふふ」
僕は和葉をベッドの方に押し倒す。
「ふぇえええ!?」
和葉は動揺に満ちた叫び声を上げる。
「ふふふ、僕が忘れられない夜にしてあげようか?」
僕は和葉のさらさらの髪をゆっくりと撫でる。
「え?……え、あ、う……」
和葉は頬を真っ赤に染め、うめき声のようなものを上げ続ける。
「ふふふ、可愛い」
僕はゆっくりと和葉の綺麗な顔に自分の顔を近づけ、
そして──────
自分の唇と和葉の唇を重ね合わせた。
和葉のいい匂いが僕の鼻腔をくすぐり、唇に甘い味が広がる。
「え……あ……」
「ふふふ。あーん」
僕は和葉の方にしなだれ、首元を優しく噛む。
「ふぇあ!?」
びくんびくんっと和葉の体が震える。
「ねぇ……する?」
耳元でボソリとつぶやく。
「ひゃぁぁぁぁぁぁぁぁあああああああああああああ!」
和葉が変な子を上げる。
そして、僕の手から逃げ、顔を背ける。
「はふっ。はふっ」
変な声を上げる。上げ続ける。
「ふふふ、初だなぁ。また今度、ね?」
僕は和葉に微笑みかけ、和葉とは別の方向を向き背中を合わせる。
そして、僕は勢いよく顔を布団の中に埋めた。
真っ赤に染まった顔を隠すように。
心臓が痛い。心臓がバクバクと音をたてて鼓動してうるさい。
……今夜は眠れなそうだ。
僕はクリスマスに一人何を書いているのだろうか?
とてもとても悲しくなった。
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