第19話
静寂。
この場を包み込むのは静寂。
誰一人も喋らず、誰一人動かない。
呼吸の音すら聞こえない。
つー
霧音の頬を一筋の涙が走る。
「素晴らしい……」
霧音は呆然と呟く。
「これほどのものがこの世にあって良いものか。……これ一つで戦争が起きる……」
霧音の手に握られているのは一つの音声ファイルが入ったUSBメモリー。
USBメモリーに入っている音声ファイルは仮面さんの言葉が入っている。
「いや、流石にそれほどじゃないんじゃない?」
霧音の言葉を私は否定する。
流石にこれ一つで戦争に至るまでとはいかないだろう。
「私はこれに命をかけられるよ?」
霧音はさも当然のように答えられる。
それに同意するようにみんなが首を縦に振る。
「あなたはかけられないの?」
「かけられるわ。命くらい」
そんなの悩むまでもない。
私ははっきりと断言する。
……。
…………。
なるほどね……これは簡単に戦争が起きるわね。
これは私達の手にはあまる代物かもしれない。
何があったとしても私達はこれを手放すなんてことはしないけど。
まぁもし仮に戦争が起きても大日本帝国軍並びに大東亜連合軍は強いし大丈夫だろう。
「……全く予想以上だったわ。私が頼んだ言葉が無いのにはキレそうだけれでもそれでも十分だわ」
「うんうん。というかよくもまぁこんなに綺麗に言葉を言わせられたわね。どう考えても無理だった思うんだけど」
「いやぁ仮面さんが予想以上に下ネタに寛容で……」
私は思い出す。
昨日のやり取りを。
甘美な仮面さんの言葉。そして私が言わされた恥ずかしい言葉の数々。
「……っ!」
私は顔を赤く染め上げる。
……すごかったのだ。
昨夜は眠れなかったし、今も脳内麻薬が分泌されているのか頭はすっきりしている。
「下ネタに寛容!?」
私の言葉に霧音が大きく反応する。
びっくりするくらい大きく反応する。
「じゃあ男の子とエロトークを楽しめるというわけ!?」
「なんとっ!」
「私はパスさせてもらうわ。自分の信念であるショタコンを失ってしまいそう」
鈴鹿がはっきりと断言する。
……うん、まぁ鈴鹿はそうしたほうが良いだろう。ショタコンという縛りから開放された鈴鹿がどうなるかなんて考えたくもない。
「じゃあ今度は三人で仮面さんとのエロトーク!!!」
霧音が興奮したように叫ぶ。
「いや、霧音は動揺して何も喋れぬのではないか?」
そんな霧音を愛梨はバッサリと切り捨てる。
「はぅ!」
霧音は心臓を抑えて倒れた。
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