第14話


「……そういえば……私達平然と男の子と下ネタぶちかましていたのね」

 

 

 

 固まる。

 愛梨の何気ない一言に私達はピタリと動きを止める。

 ショタコン狂いの鈴鹿ですら動きを止めた。

 

「あ、あはははははははは」


「ふごっ」


「びっくびっく」


 私達の精神は崩壊し、発作を起こす。

 


「仮面くんにエロいことを言わせられないかしら?」

 


 だがしかし、愛梨はそんな周りのことなんてお構いなしにトチ狂った提案を始める。


「いいわね」


 そんなトチ狂った提案に霧音がまさかの賛同する。


「いいね」


 続いて鈴鹿も。


「ショタボを求めるわ」


「え……?正気?」


 私はみんなの神経を失う。


「えぇ。正気よ。だって頼むのは私じゃなくてあなた達だもの」


 鈴鹿はさも当然のように私と霧音のことを指差す。


「「……え?」」


「正確に言うと理沙ね。霧音は会話できるとは思えないもの」


「ほっ……」


「……え?わ、私?」


「あら?」


 私が呆然としていると鈴鹿が不思議そうに首を傾げる。


「裏切ったのに挽回の一つもしないつもり?」


 鈴鹿が楽しそうに笑う。

 ……こいつ!こいつ!ドSモードだ!


「え……あ、その……」


「いいわよね?」

 

 ヒュン

 

 私の横を竹刀が横切る。


「はい!?」


 私は勢いに任せて頷いてしまった。

 ……あぁ!もう取り返しがつかない!


「安心して頂戴。私はそれほど鬼じゃないわ。合成して一文を作り上げるから、あなたは単語を集めるだけでいいわ」


 な、なるほど。

 そ、それなら良いかも知れない……。


「……わかった」


 私が嫌々ながらも頷く。


「じゃあ決まりね。各自帰りの前までにショタ仮面に言って欲しい言葉をまとめて理沙に提出することね」

 

 ■■■■■

 

「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああああああああああああああああああああああ」


 私はうめき声を上げて頭を抱える。

 その原因はみんなから渡された紙。

 この紙には各自仮面さんに言ってほしい言葉が書かれている。

 そこに書かれている言葉はどれもが放送禁止用語。


「ふぅー」


 私は一旦目をつむる。

 もしかしたら間違いかも知れない。

 目を開ける。

 目を通す。

 目をくり抜きたい。

 

 何も変わっていなかった。

 

 オタワ。

 こんなを言わせられるわけがない。

 日常会話で出てきそうな単語なんて一つもありはしない。

 こんなの日常的に言っているのは変態だけだ。

 私はすべて投げ捨てたい気分になる。

 だがしかし、すでに仮面さんとはこの紙を貰う前にボイチャする約束しているのだ。逃げるわけには行かない。

 ─────そして、約束の時間はもうすでに迫ってきている。

 私がまだ何も考えていないのに。


「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああああああああああああああああああああああ」


 ポロン。

 私が呻いていると、通話が開かれる。

 えぇい!ままよ!

 どうにでもなれ!私はボイチャに参加するを押した。

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