第13話
ヒュン
「「ひっ!」」
私と霧音の真上を竹刀が走り、悲鳴を上げる。
「わかっているかしら?私達の質問にちゃんと答えなさいよ?」
こくこく。
私達は口をモゴモゴとさせながら首を縦に振った。
私達の前に立っているのは【神無月】神崎鈴鹿と【侍ちゃん】老田愛梨。
愛梨は手に竹刀を手にしている。愛梨の剣道の腕前は全国大会で優勝するほど。下手に逆らえばボコボコにされてしまうだろう。
「じゃあまずは最初に聞かせて。変態仮面が男ってほんと?」
冷たい視線で私達のことを見定める鈴鹿が問う。
こくこく。
私達は頷く。
ちなみにだが、返事することは出来ない。
なぜなら私達の口には口枷が嵌められているからだ。
ちなみに私達は妙に手慣れている鈴鹿の無駄のない動きによって椅子に拘束されている。
私達がこんなふうに拘束されている理由。それは簡単。
私達二人が人気のない教室で仮面さんのことを話していたら、それが聞かれていて、事情聴取となってしまったのだ。
「そう。……本当のことなのね。証拠は?」
「ぷはっ」
鈴鹿は私の口枷を外す。
「え、えっと私のスマホに録音してある」
「なるほどね」
鈴鹿は一切遠慮なく私のポケットをあさり、スマホを奪っていく。
そのまま淡々と私のスマホを操作していく。
……あれ?ロックは?私のスマホ……ちゃんとロックかけているはずなんだけど……?
「これね」
『ひゃぁぁああ!?待って!レモンティーこぼした!冷たっ』
私のスマホから仮面さんのきれいな声が聞こえてくる。
「きれいなショタボじゃない!?」
「なっ」
男の声に対して鈴鹿は歓声を上げ、愛梨は驚きの表情を見せる。
鈴鹿は幾度も声をリピートし、恍惚とした表情を浮かべ、愛梨はもういつもどおりだ。
……愛梨はいつもクールなのだ。何があっても動揺しなくてかっこいいのだ。
羨ましい。本当に羨ましい。
「鈴鹿。もういいだろう。いつまで聞いているのだ」
何度も何度もリピートし続けていた鈴鹿に愛梨がツッコむ。
「あ、そうね」
鈴鹿は私のスマホを操作し、リピートを止める。
「いやぁ、良いショタ声だったわ」
「鈴鹿がリアルの男に反応するのは珍しいな」
「別に私は男に興味がないわけじゃないのよ?ただ理想のショタがいないだけなの」
鈴鹿は筋金入りのショタコン。ショタ以外愛さない狂人。男の前であってもその男の人がショタじゃなかったら平然としていられる怪物なのだ。
「まぁ声はなかなかのショタ度ね。名前の通りほんとの美少年だったら間違いなく襲っているわね。まぁ現実世界でショタとエチエチなことできるはずがないのだけど」
「そうか。ところでもう二人の拘束は問いていいよな?」
「えぇ。いいわよ」
「承知」
愛梨が竹刀を振る。
パサリ
拘束具が切断され、私達は晴れて自由の身になる。
え……?これプラスチック製なんだけど?え?なんで平然と竹刀で両断しているの?い、意味わからない……。
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