第35話
「ねぇ。何その格好」
僕は和葉の姿を見てツッコむ。
なぜか知らないけど和葉はきれいなスーツに着替えていた。そして、玄関で正座していた。
ちなみに、僕もしっかり着替えている。
あんなぐちょぐちょの服なんて着ていられない。
和葉のいろんな匂いとかもして興奮してくるし。僕が襲ったら逆に僕が枯れ死ぬまで搾り取られそうで怖いンゴ。
「何を言っているの。必要なことに決まっているじゃん!」
すっごく真面目腐った表情で僕のことを見つめてくる。
……真面目キャラは和葉には似合わないよ?
僕が若干引いていると、ガチャリと玄関が開かれ、お母さんが帰ってくる。
「お母さま」
お母さんが帰ってくると同時に和葉がそれはそれは見事な。完璧な土下座を見せつける。
え?いきなりどうしたの?とうとう頭おかしくなったの?
「わかったわ」
お母さまが頷く。
え?わかったの?
「とりあえずリビングに行きましょう」
二人がリビングに行ってしまう。
……僕はどうすれば?……ついていくか。
リビングで和葉とお母さんが真面目そうな顔で向き合っている。
「お母さま」
「はい」
「息子さんを私にください」
あぁ!結婚報告か!前世でもあったね。前世でもあった習慣なんだからここの世界でもあって当然だよね。
むしろとんでもない規模になっていて然るべきだろう。
前世も今世も縁のないものだがら完全に忘れていたわ。
これについては僕のほうがおかしかったね。確かに結婚の挨拶ならちゃんとかしこまるべきだ。
……僕は向こうの人に挨拶しに行かなくていいのだろうか?
どうなんだろう?すごい気になる。
「はい。良いですよ」
お母さんは快く了承する。
「あなたなら快く息子を渡せます。あなたは賢人ちゃんに襲いかかったり、夜這いをかけたりしなかったですしね」
「ありがとうございます!」
和葉が涙ながらに頭を下げる。
母親が性欲じゃなくて母性溢れる人で良かったな。お母さんが息子に対して欲情するような世界だったら大変なことになっていただろう。
「やったね!私達結婚できるよ!」
和葉は僕の手を取って告げる。
ビュルビュル
下から水が流れ出る。
……漏れているよ。
……多分これ無意識なんだろうなぁ。掃除が大変そうだね。
嬉しそうに笑う和葉を見て思う。
なんだろう。すごい喜ばしいことなのに。
ボケが多すぎてツッコミに頭が割かれているよ?
とりあえずその下から溢れ出ているものを止めてほしい。
さっきまでは我慢できていたじゃん!
あれか?僕に触ったからか?
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