第33話


 ブワッ!

 

「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇええええええええええええええええええ!!!」


 さっきまでのシリアスな雰囲気なんてぶち壊して僕は驚愕の声を上げる。

 いや、これは至極当然の反応だろう。

 だって和葉が溢れ出したのは上ではなく下。いつもどおりの下の汁だった。

 え?え?え?

 涙とかならわかるんだけど。……え?下から出すの?

 ……ふふ。なんかもぉーさ。和葉らしくて笑えてくる。


「え……?」


 和葉は呆然と口をぽかんと開けて下からよだれをダラダラと流している。

 えっちい匂いが僕の鼻腔をくすぐる。


「ふむ……」


 僕は椅子に座り、足を組む。


「わ、私?」


 和葉は長い長い沈黙の末それだけをぽつりとつぶやく。


「うん。私。僕は和葉のことが好きだよ」


 僕は和葉のきれいな瞳を眺めながら告げる。


「あ……あ……あ……」


 和葉は照れてしまったのか体を震わせながら僕の視線から逃げるように顔をうつむかせる。

 ガタガタ

 ガタガタ

 ガタガタ

 

 ガッタッガッタッ!

 

 おぉい!?

 どんだけ震えるの?この部屋自体が揺れだしたんですけど!?

 地震かな!?


「うえ……うえぇぇぇぇぇぇん」


 和葉は大声で泣き始める。

 ようやく実感が湧いたということかな?

 和葉がとんでもない勢いで震えているせいで涙が辺り一面にばらまかれる。


「だ、大丈夫?」


「ひっぐ、ひっぐ、ひっぐ。大丈夫!」


 和葉の体の震えはようやく止まる。

 ……というかなんで体が震えていたんだ?意味がわからなすぎるだろ……。

 体の震えのは止まったようだが、涙の方は止まらない。

 というかむしろどんどん酷くなっていく。

 目から溢れる大量の涙と鼻から溢れる大量の鼻水と口から溢れる大量のよだれと、下の口から漏れ出る卑猥なお汁と……。

 ……ん!?

 よだれ!?

 なんでよだれが!?ま、まぁ和葉だしそういうこともあるのかなぁ。


「ありがどう!わだじをえらんでぐれでありがどう!」


 涙のせいでよくわからない声となってしまった和葉が僕に抱きついてくる。


 ふごぉ!?

 

 僕は自身に入った強い衝撃に思わず何か漏れ出そうになる。ぎりぎり我慢したけど。

 おそらくこれでも和葉には攻撃の意図はないのだろう。

 あったらおそらく僕は……。


「よしよし」


 僕は未だに泣き続ける和葉の頭を撫でてあげる。

 和葉が飛び込んできた僕の胸は和葉の涙やら鼻水やらよだれやらでグチョグチョに染まる。

 ちょうど和葉の股間に挟まれている僕の足は和葉から漏れ出る粘性の液体でこれまたぐっちょぐぢょになる。


「うぇーん」


「よしよし」


 ふふ、可愛いなぁ。

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