第27話

「ひゃっほい!」


 僕は海にダイブする。


「あぁ!?」


 それを見てお母さんが変な声を上げた。

 お母さんが一瞬目を離した隙の一瞬の出来事だった。


「ふぃー、気持ちー」


 やっぱ海に来たからには海で泳がないとね!

 流石に海に来て泳がないなんて事はありえない。


「だめじゃない!ちゃんと安静にしてお」


 ピュー。


「アハハ!」


 僕はお母さんの言葉を飛ばした水で遮る

 手で作る水鉄砲……どうやら僕の腕は落ちていないようだ……。

 水鉄砲の賢人と呼んでくれ。

 いやぁー、久しぶりにやるけど上手く行ってよかった。


「別に平気さ。過保護がすぎるよ。せっかくの海なんだし泳がせてよ」


 そもそも僕はただ背中を強く打っただけなのだ。

 前世ではそれくらい日常だった。


「……はぁー。仕方ないわね。好きに遊んでいいわよ。ただし!無理はしないことね?」


「おけ」


「じゃあ私も一緒に入らせてもらおうかな!」


 下から常に液体を漏らし続けている配達員のお姉さんが海に入ってくる。

 ……この人の体はどうなっているのだろうか?

 もうかれこれ一時間以上は漏らし続けているよね。おしっこじゃない液体を。

 もう配達員のお姉さんがいた場所池みたいになっているよ?

 脱水症状とかには……なっていないですね。

 人体って不思議だなぁ。


「あ、冷たい」


 宅配員のお姉さんの下半身が海に……。

 つまり……宅配員のお姉さんの汁が海に……。

 僕は無言で何事もないかのようにさも当然のように宅配員のお姉さんのもとに向かった。


「せっかくだし、どっちが長く息を止めていられてるか勝負しよ!じゃあ、せーの!」


「ふぇえ!?ふぁ。ちょ……!」


 僕は宅配員のお姉さんをガン無視して勢いよく水に浸かった。

 そして口を開ける。

 そんな僕の口の中に入ってくるものは──────



「ごはっ!コポォ!しょっっっっっっっっぱ!!!」



 当然海水である。

 というか海水以外ない。

 配達員のお姉さんのあそこの汁なんて微塵も感じない。

 感じられるわけがない。

 ただただしょっぱかった。


「あぁ!大丈夫!?」


 勢いよく自ら飛び出し、悶える僕を配達員のお姉さんは優しく支えてくれる。

 大丈夫か!?大丈夫か!?大丈夫か!?

 これ、僕くしゃとされないか!?


「どうしたの!?」


「か、海水が……」


「あぁ」


「だめよ!海水はしょっぱいから!飲んじゃめっ!よ」


「はい……」


 忘れてた。配達員のお姉さんのヴァギナの汁に思考回路を完全に奪われていた……。

 それに久しぶりの海だし。

 そうだよね。海水ってしょっぱいよね。

 なんか頭から抜け落ちてたわ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る