第25話
「海だー!!!
僕は叫び声を上げる。
僕の視界一杯に広がるのは真っ青な海!空!白くてきれいな砂浜!
ザーザーという波の心地よい音が僕の耳元で踊る。
……ちょっと引きこもりには太陽の光がキツイ……。
「いやぁ、テンション高いわねぇ」
「まぁね!」
僕の隣に立つお母さんに返事する。
「久しぶりの外出なんだから気分の一つや二つ簡単に上がるよ」
今、僕達は海に遊ぶに来ていた。
ちなみに貸切である。
他に女性がいたら男性の方は楽しめないだろうということで国が男が貸し切れる特別な海岸を確保しているのだ。
男のために特別な海岸を用意しておくとか規模が違いすぎて目が点になる。
もう男尊女卑ってレベルじゃねぇーぞ。オイ。
だけどツイフェミのような人たちは沸かない。
それがこの世界の女性たちの常識なのだ。
VtuberとかYouTuberになれば巨万の富を築けそう。
「あまりはしゃぎすぎないでね?体を痛めているのだから」
「……うん」
ハイテンションだった僕にお母さんは釘を刺す。
先日の覆面をかぶった女性たちのせいで僕は背中をぶつけて痛めたのだ。
別にこれくらいなんともないのだが、男の子に過保護とかいうレベルじゃないこの世界ではそれだけでも大問題。
病院に連れて行こうとしてくるので、病院の女性は怖いという理論でゴリ推していたら、宅配員のお姉さんが海や山で休養をとってはどうかと提案してきたのでそれに賛成したのだ。
久しぶりに海に来たかったのだ!そろそろゲームでも水着イベがあるし。
運営……ちゃんと僕のメインキャラの水着実装してくれるのよね?
「どうぞ。賢人さん」
宅配員のお姉さんが僕を呼び、パラソルが置かれたビーチチェアを示す。
「では、ここでゆっくりしていて」
「ん」
「では私たちは水着に着替えてきてしまいますね」
「……?ちょっと待って!?僕も水着に着替えさせて!?」
「え?賢人さんも水着に?」
「だめよ!賢人ちゃん!賢人ちゃんはゆっくり休んでいないとだから」
「二人があそんでいるところを眺めるだけってどんな拷問!?せめて水着にぐらい着替えさせてよ!」
「……わかったわ。その代わりちゃんと安静にするのよ?」
「おけ。わかった。ちゃんと安静にしておく」
「それならいいわ」
「ありがと!」
僕は手に持ったかばんを持って男用の更衣室に向かった。
えっと。まずは盗聴器と監視カメラがないかどうかの確認だね!
僕はそれ用の機材を取り出し、作業を始めた。
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