第24話

「じゃあこれからもよろしく頼むわね」


「はい!」


「せっかくなので色々と頼んでしまおうかしら?」


「「え?」」


 僕と配達員のお姉さんの声が重なる。


「もう通い妻のような感じで賢人ちゃんの生活を支えてもらえないかしら?」


「いいんですか!?」


 ……え?

 僕は困惑する。

 ちょっと待って?


「えぇ。賢人ちゃんは外に出れないし、私もいないし普段の生活が大変でしょう?」


「ま、まぁ」


 なんかチョコとか小腹がすいたときに摘めるようなお菓子がなく、買い物に行けないのは不便だけど。


「だからもうそういうの全部この人に頼んでしまおうってね。賢人ちゃんもこの人のこと信用しているみたいだし」


 ……いや、まぁ。うん。信用していると言うか。この人ドアを軽々とぶち破ったし、無理やり犯すつもりならとっくの昔に犯されているからね。

 まぁそういう意味では信用しているよ。

 床はぐちょぐちょになるけど。

 ……もうその椅子使えないだろうなー。

 でも、配達員のお姉さんが家に入ってくるとなると……オ◯ニーが。特殊なやつとかして、匂い残ったりもするかもだから……。

 えぇ。嫌だなぁ。


「ありがとうございます!」


「それに賢人ちゃんももうそろそろお嫁さんを見つけなきゃいけない時期だからねぇ」


「な!?」


 お母さんのその言葉に配達員のお姉さんは驚愕と歓喜に満ち溢れた表情を見せ、僕は表情を歪ませる。

 結婚。

 僕が今最も聞きたくない言葉だ。

 16歳。

 その年になると必ず一人とは結婚しなくてはいけないのだ。必ず。

 それで僕の年は現在15歳。

 今年中には結婚相手を見つけなくてはならないのだ。見つけられなければ……。

 

 ガタガタ

 

 想像するのも恐ろしいことが起きてしまうのだ。

 本当に。

 考えたくもない。だから結婚相手は必ず見つけなくてはならないのだが……うーん。嫌だなぁ。

 配達員のお姉さん?

 下の口から常によだれを垂らし、人知を越えすぎた謎のパワーを持っているこのお姉さんが僕のお嫁さん?

 ……可愛いし、優しいし。全然大歓迎だ。僕は。しかし、僕の僕は全力で拒否している。恐怖におののいているの。


「どう思う?賢人ちゃん?」


「……いやぁ、それはちょっとまだ怖いかなぁ」


「そうね……」


 お母さんは僕の言葉を聞いて頷く。

 なんだろう?嫌な予感がする。


「賢人ちゃん。あなたは結婚相手を必ず見つけなければならない。ついさっきも襲われかけたばかりで怖いのも分かる」


 あ……これあかんやつや。


「せめてお母さんがいる間だけでも頑張ってみない?」


「……わかった」


 ここで拒否するのは流石にまずいだろう。

 …オ◯ニーどうしようかな?

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