第19話

「じゃあちょっと出かけてくるわね」


「おっけー。了解」


 僕は買い物に行ったお母さんを見送る。

 ちゃんと鍵とチェーンをかけてっと。

 僕はしっかりと家の鍵をかけたことを確認してから部屋に戻った。

 

 それからしばらく。

 ガチャガチャという音が鳴り響く。

 お?帰ってきたかな?

 僕は部屋の席から立ち、玄関のチェーンを外し鍵を開けてドアを開ける。


「お?ほんとに男いんじゃん。ラッキー」


「ふへへ。男ぶち犯してやるのも久しぶりっすね」


「それにとんでもなく可愛い子だし」


 顔が引きつる。

 エクスカリバーが悲鳴を上げ、枯れ枝へと成り下がる。

 そこにいたのは覆面を被った三人の女性。

 僕は勢いよく扉を閉める。


「なにしてんのさぁ」


 だが、失敗する。

 ドアに足を挟まれ、閉められない。


「このまま大人しく犯されろ?」


 反転し、逃げる。

 ……僕の部屋。いや。無理だ。

 あまりにも武器が多すぎる。

 あそこにあるのものを敵に奪われたら最悪なことになる。

 とりあえずリビングに向かう。

 僕の後をすっごい音をたてて追ってくる三人の女性。

 くそがっ!お前ら犯罪者だろ!?なんか朝ニュースで見たぞ!?人殺しの匂いがプンプンしていやがるんだよっ!

 犯罪者ならもっとお淑やかに来やがれっ!証拠を作らないように頑張れよ!


「よいしょ


 手を伸ばしキッチンに置かれたナイフを手に取る。


「そんなもん手に入れて何をするつもりなのかな!」


「どらっ!」


 僕は飛びかかってきた一人の女を投げ飛ばす。

 その際にナイフを走らせる。


「いっつ」


 返り血が僕の顔を濡らす。


「へぇ。いいじゃん。抵抗してきた男の子とか初めてだよ!」


 残された二人は僕に手を伸ばす。

 僕はそれらをギリギリのところで受け流す。

 なめんよ!?こちとら前世で古代武術を習っていたんだからな!?

 ちょ、あの、ごめんなさい。

 人間の動きを超越しないで。お願いだから人間の動きを超越しないでほしい。

 マジで。本当にまじで。心の底からそう願っている。

 うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!

 頑張れ!僕!は配達員のお姉さんはもっとすごかったじゃないか!


「へぇー。頑張るじゃん」


 必死に頑張る僕を見て犯罪者共が覆面の下で笑っているような感じが感じられる。くそが……!助けて!助けて!助けてママン!


「ねぇ。随分面白い部屋あったね」

 


 バチバチ。



「は?」



 衝撃。



 ……!

 スタンガン……!

 体がしびれ、動かない。

 僕にスタンガンを当てたのは最初に僕が投げ飛ばした女性。わざわざ僕の部屋にまで行き、持ってきたらしい。

 力が入らなくなった僕の体は当然のように倒れる。

 当然だ。


「ひっひっひ」


 僕の体は呆気なく覆面をかぶった三人の女性に押し倒される。

 ……!やっば……。

 僕の童貞はここで終わるの?ちょ……!せめて覆面は外して!顔も知らぬやつに犯されるのは……!


 ドゴン

 

 とんでもない音が響き、閃光が走る。

 そして─────

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