第15話

「じゃあお母さんがお昼ごはんを作っちゃうわね!ふふふ、張り切っちゃうわぁ」


 地獄のヨガを終えた後、お母さんがリビングに立ちさっき買ってきていた食材を冷蔵庫から取り出していく。

 ……か、体が……痛い。すごく痛い。

 すっごくいたぁい。

 もう二度とヨガなんかしない。

 僕はそう心に誓った。

 そういえばお母さんが昼ごはんを作るとなると出前家に頼まないことになるのか……。

 何年も毎日欠かさず頼んでいたからなんだか複雑な気分。

 僕はお母さんがキッチンでお昼ごはんを作っているところを眺めながら【エスプリ】の攻略サイトを眺める。

 ヨガマットに寝っ転がりながら。立てない……。

 ……おっ。

 新キャラの情報出てる。

 ほむほむ。

 おー。これまたピーキな性能をしたキャラなこと。まぁ僕が今使っているキャラほどではないが。

 そこそこ面白そうなキャラではある。

 実装が楽しみだ。

 あ、またギルド対抗戦するのか。

 なんか最近ギルド対抗戦多くないか?


「出来たわよー」


「ほーい」


 僕はなんとかヨガマットから体を起こし、席につく。

 お母さんが作ってくれたのはオムライス。

 前世でも食べたような一般家庭のオムライス。

 ずっと男専用に作られた高級なデリバリーでもなく、出前家でもない。

 ちょっと感動する。

 懐かしいー。前世を思い出す。

 僕は昔を思い出しながらオムライスを口へと運ぶ。


「美味しい?」


「うん。美味しいよ」


「それは良かった」


 いやー、やっぱ目の前で親しいものが作ってくれたものには特別な美味しさがあるよね。


「よく噛んで食べてね」


「……ん」


 ふむ。もう僕は高校生なのだが。そんな心配されるか?


「ごちそうさまでした」


 しばらく。

 僕はオムライスを食べ終わる。


「お皿をちゃんと水につけておいてねー」


「んー。りょーかい」


 僕はリビングにお皿を片付け、水で一度洗い流してから再度水につけておいておく。


「じゃあゲームしてくるね」


 冷蔵庫からプリンをとり、グラスにレモンティーを入れ僕は自分の部屋に向かった。


「わかったわ」


 僕は自分の席につき、PSを起動させる。

 そして立ち上げるのはエロゲー。

 数少ない男用のエロゲー。

 マジで需要がほとんどないのか、滅多に出されることも売上があがることもない。出してくれるのが奇跡のようなエロゲーを僕は立ち上げた。

 理由はもちろん。

 一つしかない。

 お母さんのせいで昂った性欲を解消するためだ。

 いやー前世ではお母さんに対して情欲を抱くとはマジあり得なかったよね。

 やっぱこの世界の女性はレベチだわ。

 ……。

 ……………。

 ふぅ。

 【エスプリ】するか。

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