第13話

『全国各地で死因不明の女性の死亡事件が多発。警察は……』


 僕は見たことないくらいでっかいテレビから流れてくるニュースを見ながら優雅な朝食タイムを取る。

 普段朝食はとらないが、ちょっと今日は寒いから朝食としてオニオングラタンスープを食べているのだ。

 はぁー。温まるー。

 それにしてもニュースキャスターかわいいよなー。超絶美人で声もきれいで流暢。


「ごちそうさまでした」


 僕はオニオングラタンスープを入れていたお皿を水につけ、グラスにレモンティーを並々と注ぎ、それを持って自分の部屋に向かう。

 その時、突然ガチャガチャという音が玄関から響いてくる。

 は?

 慌てて玄関の方を見ると─────

 鍵は開かれ、チェーンが最後の砦と成り果てていた。

 ……え?鍵は?え?え?

 ちょ……!

 僕が慌てて自分の部屋から武器を持ってこようとした時、声が響く。


「開けて。賢人ちゃん」


 その声の主は、今世のお母さんだった。


「あ、うん。今開ける」


 僕は安心して玄関に向かう。

 チェーンを外し、玄関の扉を開ける。


「おかえり。ごめんね。チェーンがしてあって」


「ただいま。いいのよ。防犯意識があることはいいことだわ。昔の賢人ちゃん防犯意識皆無でお外に行きたがっていたからね」


「あはは」


 家の中に入ってくるお母さん。

 年齢はそろそろ40代も見えてきたというところか。

 なのに、その見た目は若いまま。

 前世であったらよゆーで20代と名乗れる見た目だろう。


「帰ってくるのも久しぶりね。ごめんね。一人にして。寂しくなかった?」


「あぁ、うん。平気。ゲームしているし」


「そうね。ずっとゲームしているものね。賢人ちゃんは今は何のゲームにハマっているの?」


「今は【エスプリ】というゲームにハマっているよ」


「あら。そうなの」


「じゃあお母さん。家の冷蔵庫は空っぽだから何か食べたかったら何か買ってきて?」


「賢人ちゃんは何かいる?」


「んや。僕は要らない」


「じゃあ何か買ってくるわね」


 荷物を置いたお母さんが家から出ていく。

 ふぃー。

 ちなみにだが、この世界の男の母親は性欲にステをぶっぱしていない。

 男の母親に限り、性欲が母性本能へと変化するのだ。

 そのおかげで母親の前だと僕の僕もヒキニートとはならない。

 元気よくお外に出れるようになる。

 もうお母さんで童貞を卒業してもいいのではなかろうか?むしろそうするべきなんじゃなかろうか?

 僕はそんなことを思いながら、すでにちょっとぬるくなってしまったレモンティーを手に持ち、自分の部屋へと向かった。

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