第7話

「落ち着いて、ね?」


 天井に向けて銃を発砲した男の子が話す。


「僕のことを見て?」


 こくこく。

 私は高速に首を縦にふる。

 君のことなら何年、何十年、何百年と見ているよ?


「えっと、まずはね」

 

 パン。

 

 再度引き金が引かれる。

 銃弾は私の口を塞いでいたさるぐつわを私に当たらないようにきれいに撃ち抜いた。

 ゆっくりとさるぐつわはビショビショの下半身へと落ちていった。


「喋れるようになったよね?」


「う、う、う、う、う、う、うん!」


 わ、私!男の子と会話している!

 感激のあまり、私は涙すら流す。


「え?ぁう」


 それに対し、男の子は困惑したような声を上げる。

 はっ!男の子を困らせるなんて女の恥!

 しっかりせねば!

 私は年上の女性の貫禄を見せるため緩みそうになる表情と秘部を閉め、きりっとした顔つきを作る。


「私に何のようかな?」


「ふぇ!?」


 私が聞くと、男の子が酷く驚いたような表情を見せる。


「どうしたのかな?」


「あ、いや。なんでもない!えっとね。お姉さんに頼みたいことがあるんだけど」


「なんでも任せてくれていいよ。その前にちょっとお姉ちゃんって呼んでもらえない?」


「あ、それはまたの機会に。えっとそれで頼みなんだけど。今日みたいにこうして出前を頼むときは君に来てほしいんだけど……」


「任せて。店長を脅してでも必ず来るわ」


「ありがと!えっとそれで、出前した料理は必ず玄関の前においてある台におくこと。それと台の上に紙が置いてあったときはその紙に書かれたものを次出前するときに買ってくること。安心して。お金は払うから」


「わかったわ。何ならお金も私が出すわ」


「あ、それはいい。ちゃんとお金は僕が出すから。お金はあるし……」


「いや!でもそういうわけには!」


「だめ。お金は僕が払う。お金を貰えないなら君に頼まない」


「……わかったわ」


 くっ……!男の子に奢ってあげられないなんて……!末代前の恥……!


「じゃあよろしくね!」


 男の子はそう言うと、扉の方に行き扉を開ける。


「お帰りはあちら。すぐに帰ってね?怖いから。さっさと帰らないと君に頼まない」


「わかったわ!」


 頑張れ!理性!

 もしかしたら……私は……彼と結婚出来るかも知れないのだから!なんて言ったて話しかけてくれたんだもん!

 ここで変な行動を取るわけには行かない!


「ふ、服は玄関のところに置いてあるから……」


 銃声が響き、私を縛っていた縄が切られる。


「ありがとね」


 私は男の子にお礼を言った後、立ち上がる。

 パンツは……濡れすぎてパンツじゃない何かへと成り下がっている。

 ……脱ぐか。

 流石にこのままは気持ち悪すぎるので、パンツを脱ぐ。


「ふぇ!?」


 すると、男の子が顔を真っ赤に染め、変な声を上げる。


「あ!ごめん。汚いもの見せて」


 男の子に自分の秘部を見せるなんて……なんと汚いことを。


「あ、いや!大丈夫!……そ、それはそのまま置いていっても大丈夫だから」


「あ、そう?」


 私は鉄の理性を持って私の自由意志の元行動を開始する。

 ……。

 下半身の方に視線を感じる。

 ……わかっているから!わかっているから!

 濡れ過ぎなのはわかっているから!見ないで!

 そんなに見られたら襲いたくなっちゃうからー!!!

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