第七話 おお、クトゥルフよ、死んでしまうとはなさけない

7-0





「御尊き主よ、微睡みより目覚められよ」


 ふと意識を取り戻すと、そこはいつものルルイエの祭壇の上でした。


「不遜なること畏れ多いながら、件の人間を如何にすべきか賜りたく……」


 目の前にはダゴンが首を垂れて何か言わんとしていますが……クトゥルフの心はすっかり九十郎が心配でした。


「ああ、ダゴンか。うん……なんであったかな?」

「は。あの人間の男が宣った言が真ならば、我らはそれに備えねばならぬかと……」


 ダゴンはあれこれ話をしているようですが……クトゥルフの意識はまだ夢の中でした。

 ……あの後、どうなるんだ……気になる。


「という意を取り入れ、まず手始めに……」

「うん。悪いんだけど、もう一度寝るわ」

「は? い、いえ、お待ちを。恐れながら……」

「それどころじゃないねん! ええから寝かせろ! 話は、起きてから聞く!」

「お待ちを! 今しばらくお待ちください、我が主! 我が……」

「いいや限界だ。寝るね!」


 突然のことに困惑するインスマスやダゴンを他所に、クトゥルフは今一度九十郎へと戻っていきます。

 先ほどの場面の、直後へ……




  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る