第17話 自己破産について
せっかく体験したことなので……借金問題で困っている方に向けて、少し債務整理について掘り下げようと思います。
債務整理の手段は3つに分けられます。
――まず1つめが「任意整理」。
これは弁護士が代理人となって、債権者 (消費者金融、ローン会社など)と交渉してくれる制度です。
金融会社の売上となる借金の「金利」をゼロにして、更に支払期間まで延長してもらえます。大体3~5年程度ですかね。
金利がゼロになれば、借金が膨らみ続けることはなくなる。あとは堅実に、借りたお金を返済していくのみです。
債権者の売上はなくなりますが、1円も返済されずに終わるよりは、まだマシだと頷くしかありません。
ここで拒絶すれば「自己破産」されて、そうなれば金利どころか、貸し付けたお金すら回収できませんから。
任意整理すると、債権者が直接借金の督促することはできなくなり、全て弁護士を通してのやりとりになります。
ただ、「弁護士が守ってくれるなら何も怖くないぜ!」なんて、調子に乗らないようにしましょう。
弁護士が関わっているからこそ、支払いの滞納をすれば誤魔化しが効きません。
任意再生の場合も、信用情報に「事故」の情報が載ります。しかし自己破産とは違い、財産を放棄する必要がありません。
――2つめが「個人再生」。
これは、借金の返済が難しいことを裁判所に認定してもらい、法律の規定で借金の総額を減額するものです。返済期間は、これまた3~5年程度。
総額の5分の1程度まで減額可能ですが、複数会社から少額ずつ借り入れている場合は要注意です。
「総額」とは、「全ての借金を合計した額」ではありません。
会社ごとに借り入れている、「各会社ごとの借金の総額」のことです。
例えば1社から500万借りていれば、額も額ですし5分の1の100万まで減額が望めます。
しかし5社から100万ずつ借りていた場合、そもそも減額が認められないことが多いのです。
1社から500万以上借りていて初めて、機能する制度なんですよね……。
私のように複数社から少しずつ借りて借金を膨らませた場合には、まず通りません。
個人再生も事故情報が載りますが、財産は没収されません。
また、後述する自己破産とは違い、借金の原因がギャンブルでも平気みたいですよ。
その代わり――と言ってはなんですが、利用できる条件が厳しめです。
借金総額が5,000万以下とか、将来的に継続または反復した収入があるとか、再生計画通りに3年で支払いを終えるとか。
更に、そもそも債権者が同意しなければいけません。
複数社の場合は、半数以上に頷いてもらう必要があります。
――そして3つめが「自己破産」です。
借金が完全にゼロになりますし、安定した収入がなくても申し立てが可能です。
ただ、失うものは多いです。
前話で述べた通り財産の多くを手放さなければなりませんし、預貯金だって20万以下しか認められません。現金は99万以下だったかな……?
7年~10年はローンが組めなくなりますし、資格の取得や就職にも制限があります。
弁護士、公認会計士、税理士などの資格は数か月間取得できなかったはず。
生命保険会社では、事故情報が完全に消えるまで就職できないそうですね。
あとはとにかく、裁判所に承認されるまでに時間がかかります。
直近3か月分の支出について、細かく記入して提出しなければなりませんし……用意しなければならないものも多いです。
人となりや借金の原因についてもかなり詳しく精査されますし、弁護士先生と話しながら、よく「私何言ってんだろうな、今何やってんだろうな」なんて考えていました。
ギャンブルが原因だった場合は認められませんし、自己破産手続きの直前に「返済のアテもないのにクレジットカードで爆買い」なんて真似をするとアウトです。
全く返済しないまま、借金を膨らませ続けていてもアウト。
悪質だと判断されるとダメみたいですねえ。
先生に言われたことでよく覚えているのが「よくニコニコ笑っていられますね、笑顔が素敵過ぎて悲しいですよ」「どうしてまだ、お母さまのことを嫌いになれないんでしょうね」でした。
どちらも笑いながら困ったように言われたのですが、不思議と嫌味には感じませんでした。
「え~!? なんでなんでしょう~!」なんて、爆笑していたくらいです。
とっくにぶっ壊れていたんでしょうね、まだ車に七輪乗せてましたし。
というか今思い出すと、あの時「火種」が足りていませんでした。
炭に火を付けるものがひとつもなかったです……タバコもやらないので、ライターすら持ってなかった……。
自己破産の申し立てをしたその日から、債権者の督促はストップしました。
まだ裁判所が承認していないとしても、月々の返済をする必要もありません。
こうして、今まで毎月9万返済していた私は、浮いた――というのも変ですが――お金をへそくりにしました。
20万ぐらい貯めて、すぐさま1人暮らしするつもりだったのです。
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