第13話 借金について

 ――金融会社で20万円借りて、月々の最低返済額が5,000円。


 この20万円、返済するのにどれくらい時間がかかると思いますか?

 200,000円÷5,000円=40(ヵ月)だから、更に÷12(ヵ月)すれば答えは3.3(年)。

(ふふふ――どうですか、このもたついた計算式……これこそが中卒の力ですよ、バカが露呈して恥ずかしい……!)

「最低返済額だと、3年もかかるのかよ~」――ではありません。


 金融会社は「金利手数料」で経営が成り立っているのです。


 カードローンの利息は、大体「借入金額×実質年率×借入日数÷365日」で計算できます。

 会社にもよりますが、金利は年率10~20%のものが多いですね。

 ウン百万の高額融資を受ければ、金利は下がります。逆に数万円ぐらいの低額融資だと、金利20%ぐらい取られちゃいます。そうでなきゃローン会社に利益が出ません。


 例えば年率15%で計算すると、20万借りた場合の利息は1年間で3万円。30日間で2,465円くらい。

 つまり毎月最低額の5,000円返済していても、およそ半額の料金が金利手数料として、金融会社の売り上げになっているのです。


 1年間5,000円を払い続けたら、6万円ですよね。

 でもその半額の3万円は、金利手数料なので元本20万円の「返済」には含まれません。

 ――つまり、1年間でたったの3万円しか返済できていないんです。


(※手っ取り早く単純な均等計算で表していますが、もちろん、永遠に「支払い額の半分」を手数料で引かれる訳ではありません。元本の額が小さくなれば、月々の金利手数料も比例して小さくなります)


 1年経つ頃、元本は約17万円になっているはずなので……30日間の利息は約2,000円前後まで下がります。


 この返済方法だと、恐らく全額返済するまでに3年どころか4~5年かかります。

 多額の利息を支払いたくないなら、月々5,000円ではなくて数万単位で返済していくしかない。


 迂闊に手を出すと本当に危険なので、カードローンはあまりお勧めできません……。

 まだ銀行の融資の方が、実質年率10%以下の場合もあるのでマシですよ。


「自分、借金なんてしないも~ん。そんな話、関係ないも~ん」と思われる方も多いかと存じます。

 でもね……そっと財布を開いてみてください。

 1枚くらい、クレジットカード持っていませんか? ――アレ、使うたびカード会社に借金してるんですからね!!!(極論)


 支払いが一括の場合は問題ないと思っているでしょう? でも借金してることには違いありませんから!


 極端な話、例えば金融会社で5万借りて、翌月の返済日に5万一括で返済するのと同じことをしているんです。

(自身の口座から直接引き落としのデビットカードや、事前入金型プリペイドカードの話は今していませんよ。あくまでも「クレジットカード」のお話です)


 支払いを日常的に分割払い、リボ払いしている方はいらっしゃいませんか?

 ハーイようこそ「こちら側」へ、それドチャクソに借金です! 身を滅ぼさないように注意してくださいね!!


 特に「リボ払い」って、本気で利率やばいんですよ。使う金額にもよりますが、そこらのカードローンよりよっぽど高くなりがちです。


 家や車をローンで購入される方、携帯本体を2年縛りのお得な月賦割で契約される方、「借金」という悪い言葉じゃなくて「ローン」「月賦払い」と小綺麗に表現しますよね。

 でも残念。全部、普通に借金でーす!! 自己破産してありとあらゆるローン、月賦契約ができなくなった私が言うんだから、間違いありませーん! ←


 今はスマホ決済だのプリカだのなんだの、支払い方法も多様化していますが……もう定義するのが面倒くさい! 現金一括払い以外全部「借金」ってことで(嘘です)!


 ――とまあ、さすがにこれは言い過ぎですが……でもそれぐらい危険なモノとして、慎重に取り扱って欲しいです。

 今や誰でも持っているようなクレジットカードも、使い方を誤ればとんでもない事態を引き起こしかねません。


 ……アッ、そもそも生活に余裕がある皆さんには、余計なお世話でしたね。熱くなってすみませんでした。


 しかし、くれぐれも目に見えないお金のことを「自分の預金」と勘違いしないでください。

 クレジットカードの「利用限度額」に記された金額は、あなたの財布の中身でも、口座の中身でもありませんよ。


 ――そんな恐ろしい勘違いをしたまま、自己破産まで真っ直ぐ突っ走ったバカが私です。


 カードローンで借りた金を元手に車の免許を取得、自分用の軽自動車も――5年だから7年だか忘れましたが――ローンで購入しました。


 初めは金融会社で借りた20万を、順調に返していたのです。

 多額の利息を払うのが悲しくて、余裕がある時は最低返済額よりも多めに返済して……そうして残額が10万円を切った頃、母が動き出します。


 いきなり「絶対にお母さんが返済するから、私の代わりに10万円ぐらい借りてくれない?」と言ってきたのです。

 母はこの時点で複数社のローンを滞納しており、新たに借金ができない状態だったんですね。本当にとんでもない母親だ。


 正直、私の母に対する信頼は既にゼロでした。

 母が返済なんてできるはずない、結局自分が返済するハメになる。利息も安くないのに、さすがにしんどい――と。


 私はその時初めて、「いや、もう限度額いっぱいまで借りてるから、無理だな……」と嘘をついて、金の無心を断りました。

 そもそも慎重を期して、カードローンの限度額が20万だという話すら母にしていなかったのです。ちょっとだけずる賢くなっていたんですね。

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