12月17日

「何? 警察が嗅ぎつけている、だと……!?」

 セバスチャンからもたらされた情報には驚かされる。

「はい。坊ちゃんの名前もそこに刻まれている、と」

「ふむ。確かに俺の名前は目立つ。きっと国の番犬が俺を嗅ぎ回っているのだろう。〝世界の悪と闘う正義の使徒〟ってか?」

「幡生からは火はでないでしょう。偽名ですし」

「そうだな。問題は娘の方か」

 明理。彼女から俺の名前が出されたらアウトだ。

 朝支度を整え、学校へと向かう。

「あとは頼んだぞ。セバスチャン」

「仰せのままに」


 学校に着くと明理が暗い顔で入ってくる。

 親族の死があれば、学校は休んでいいはずだ。

 それでも来たということは、

「ちょっといい?」

 俺に用事があるから、か。

「ああ」

 校舎裏に呼びつけられると、明理が泣き叫ぶ。そして俺の胸板を叩く。

「なんで! なんでパパをやったのよ!」

 泣きはらした顔は不細工に見える。

 その後も嗚咽を漏らしながら、俺の胸板を叩き続けた。

 明理の痛みはこんなものじゃない、と。そう言っているような気がした。

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